民間医局アカデミーシリーズ1

明日から使える救急の知識


当日、登壇される講師の先生方のご経歴と本アカデミーについてコメントを頂戴しました。

第1回 1月25日(土) 講師 石松伸一先生 阿部智一先生
第2回 2月15日(土) 講師 石松伸一先生 望月俊明先生
第3回 3月8日(土) 講師 藤谷茂樹先生 大谷典生先生



聖路加国際病院 副院長 救命救急センター長 石松伸一 先生
第1回 1月25日(土) 第2回 2月15日(土) 講師

聖路加国際病院 副院長 救命救急センター長
石松伸一 先生


ご略歴

川崎医科大学附属病院 レジデント

川崎医科大学附属病院 救急部

聖路加国際病院 救命救急センター長

聖路加国際病院 副院長


かつての地下鉄サリン事件で、640名もの救急患者を受け入れた聖路加国際病院。
その救急部で陣頭指揮をとられたのが、今回の監修でもある、現 副院長 救命救急センター長の
石松伸一先生です。石松先生には、聖路加国際病院での事例などを中心とした、病院などの
組織でできる"急変"や"見逃し"などのエラー対策を教えていただきます!

◆◇監修からの一言◇◆

今回のアカデミーを監修するに当たり、考えたことがあります。実際の臨床現場を担当する皆さんが、
何に困惑し、どこを不安に思っているかです。皆さんが求めているのはテクニカルスキルではなく、
発想や気づきだと考えました。そこで、テーマを、「救急・急変対応のエッセンス」、「急変事例の紹介と
共通点」、「病院など組織としての取り組み」にしました。
講師には現在、水戸協同病院で救急を担当されている、阿部智一先生、彼の教育講義の歯切れの
良さには定評があります。ほかに聖路加国際病院 救命救急センターの実質的責任者である
大谷典生先生、同センター集中治療室室長の望月俊明先生、望月先生は院内急変事例分析担当責任者でもあります。
また、システムについては、海外での経験も長く日本でのRRS(急変対応システム)の第一人者でもある
東京ベイ・浦安市川医療センター長の藤谷茂樹先生にお願いしました。

きっと皆さんのニーズに合ったお話が聞けると思いますので、ぜひどしどしご質問をお寄せください。

◆◇講師からの一言◇◆

皆さんは、たとえば、朝病院に出勤したとき「昨日、○○さんが急変してICUに入った」
という話を耳にすると、どのように感じますか?
「自分の患者さんじゃないか」「自分の知っている患者さんか」「何が起こったの?」「何とかならなかったの?」
などいろいろと感じると思いますが、容体が安定している(と思っていた)患者さんの急変は、担当医に
とってもご家族にとっても、何よりも患者さんご本人にとってもとてもつらいものです。
できれば急変は起きてほしくない、急変には出会いたくない、仮に出会っても淡々と十分な対応が
できるようになりたい、と思ってらっしゃるに違いないと思います。また皆さんの中には病棟や診療科の
責任者の立場や、組織の医療安全管理のメンバーとして病院全体の医療安全を担保する立場のかたも
いらっしゃると思います。
私の担当する「組織・システム編①・②」では、聖路加国際病院での急変事案などを取り上げながら、
院内で取り組めるコミュニケーション・エラーの対策を考えます。


【講義のキーワード】
 急変、インシデント、ひやりはっと、気づき、 対応システム、患者安全




筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター・総合病院  水戸協同病院 救急・集中治療部 准教授 阿部 智一先生
第1回 1月25日(土) 講師

筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター・総合病院
水戸協同病院 救急・集中治療部 准教授
阿部 智一先生


ご略歴

2004年 香川医科大学医学部医学科卒業

2004年 三井記念病院初期研修医

2006年 聖路加国際病院救急部後期研修医

2011年 ハーバード公衆衛生大学院修了


阿部先生は、独学でハーバード大学に留学されたご経験もあり、医療の"標準化"をテーマに、
幅広くご活躍されていらっしゃいます。また、研修医向け雑誌「Resident」への連載をはじめとし、
全国でご講演をなさるなど、若手医師の育成に熱心な先生です。
国内外で培われた"阿部先生流"の救急を、ぜひ生で学んでください!

◆◇講師からの一言◇◆
いつも救急には協力してきた。夜だって週に一回は一人で当直している。
マニュアルに書いてある症例くらいはこなせるつもりだ。だけど、いつも救急車の電話を取るとき、
なぜか不安がぬぐえない。心のどこかで断る理由を探している。その不安はどこからくるのだろうか?
このまま一人で何となくこなしていっていいのだろうか?そういや救急の基本って習ったことあったけ?
今回は職場では今更聞けないこと、意外と知らなかったことをおしゃれに整理する。
今日聞いたことを、明日、初期研修医に話してみよう。
本当はずっと前から知ってることばかりだったんだ。


【講義のキーワード】
 基本、標準、プロセス




聖路加国際病院 救急部 医幹 望月 俊明先生
第2回 2月15日(土) 講師

聖路加国際病院 救急部 医幹 兼 救命センター集中治療室室長
望月 俊明先生 


ご略歴

2001年 順天堂大学医学部医学科卒業

2001年 聖路加国際病院外科系初期研修

2003年 聖路加国際病院救急部後期研修

2007年 聖路加国際病院救急部医員

2011年 聖路加国際病院救急部医幹


◆◇講師からの一言◇◆
夜間当直中の急変秘話は都市伝説的にヒヤッとする話が多い。
しかしいつ自分がその立場に置かれるのか、その時適切な対応がとれるのか、何年たっても
多少の不安感を持ちながら当直をするのが実際であろう。急変には多くの場合予兆が
存在することが報告されている。しかし急変の発生頻度は低く、予兆となる所見はバイタルの
軽微な異常であり、どの症例を特別視するべきか、判断は難しい。このような事象に関しては
パターン認識と、事例の疑似体験、すなわち「他人のふり見て我がふり直せ」、の学習方法が効果的である。
しかし、なかなか表に出しづらい話も多く、そのような機会が少ないのが現状である。
今回は、急変事例のデータベースから見られる急変における傾向を示し、実際の急変事例を紹介し、
急変予測、急変対応の視点から解説する。

【講義内容】
  ABC(air way, breathing, circulation)の初期対応において:
1.急変時は皆パニックとなる。普段経験していないと、なおさら焦る。
2.全ての急変場面で不変的に使える考え方、意外に忘れてしまったテクニックを実際の事例から復習する。
3.緊急時の気道確保方法、ショックに対する補液、昇圧剤の投与方法の実際を中心に、病棟からICU移動まで
初療から転院搬送まで、といった初期対応に限定して整理する。

【講義キーワード】
  ABC(air way, breathing, circulation)、急変時の考え方・テクニック、初療から転院搬送までの初期対応





東京ベイ・浦安市川医療センター センター長 聖マリアンナ医科大学 臨床教授
藤谷 茂樹先生
第3回 3月8日(土) 講師

東京ベイ・浦安市川医療センター センター長
聖マリアンナ医科大学臨床教授 
藤谷 茂樹先生 


ご略歴

平成 2年4月 島根県立中央病院外科研修医

平成12年6月 米国ハワイ大学内科研修

平成15年7月 米国ピッツバーグ大学集中治療学フェロー

平成17年7月 米国UCLA-VA感染症フェロー

平成22年2月 聖マリアンナ医科大学 救急医学教室 准教授


◆◇講師からの一言◇◆

RRSは、院内心停止になる前に早期に患者の異変に気づき、心停止になる前に介入することで、
医療ミスによる大きな合併症や、医療事故を未然に防ぐことができる可能性がある。
国内でもRRSの情報が広く知れ渡るようになり、院内医療安全の観点から重要性が
認知されてきている。今回のコースでは、RRSの重要な4つのコンポーネントのうち、
若手医師に重要と思われる2つのコンポーネント(気づき、院内急変対応チーム)について、
症例ベースで、患者が発しているSOSサインからどのように疾患を推測するか、
院内急変対応チームとしてどのような治療戦略を立てるかについて焦点を絞って解説する。

【講義キーワード】
 RRS、気づき、院内急変対応チーム





聖路加国際病院 救急部 副医長 大谷 典生先生
第3回 3月8日(土) 講師

聖路加国際病院 救急部 副医長
大谷 典生先生 


ご略歴

1997年 東北大学医学部医学科卒業

1997年 聖路加国際病院 外科系初期研修医

1999年 聖路加国際病院 救急部 後期研修医

2003年 聖路加国際病院 救急部 医員

2005年 聖路加国際病院 救急部 医幹

2009年 聖路加国際病院 救急部 副医長


◆◇講師からの一言◇◆
専門家として研修を積む過程で、その分野に関しては詳しくなっているものの、専門外の対応を
迫られる救急事例は、"なんとなく"対応できるが、"なんとなく"でしかないという悩みをよく聞く。
また、自施設内での救急症例の振り返りは、得てして後から来た名医による「後出しジャンケン」に
なりがちであり、当事者にとってはあまり気持ちがよいものではないものである。
今回は、実際の症例ベースに、現場の思いを理解しつつも、ちょっとしたポイントを押さえることで、
次に生かせる気づきを得ていただける時間にしたい。 受講生アンケートで「こんな救急症例を経験したが、
どうすればよかった?」「このような時は どうしたら良い?」等、具体的事例をあげていただければ、
併せて解説を加えていきたいと思う。

【講義のキーワード】
"救急"の考えかた、"場"をしきるコツ、救急現場からのメッセージ