8月開催し、さまざまな先生から好評のお声をいただいた第1回に続き、『内科だけではカバーできない高齢者総合診療』の第2回が
開催されました。当日は、「ポリファーマシー」「高齢者の身体診察」「めまい」「視力障害」「腰痛・膝痛」のエキスパート陣に
よる
講義でした。ステージ上でのデモンストレーションも多く、講師のオリジナリティ溢れるレクチャーで、盛況な会となりました。
- 第1部:高齢者医療総論 ポリファーマシー(多薬剤処方)
講師:医療法人鉄蕉会 亀田ファミリークリニック館山 院長 岡田唯男先生

今回は、誰もが押さえておきたい「ポリファーマシー(多薬剤処方)」の考え方について概説いただきました。
「ポリファーマシー=薬が多いことだけではない」という定義から解説がスタート。
「Beers Criteria」「STOPP」「START」などのスクリーニングツールの紹介や、具体的な患者の例をもとに、減らせる薬と加えるべき薬について受講者同士でディスカッションをする時間も。後半は、具体的な薬の減らし方の紹介など、ポリファーマシーの解決方法について説明頂きました。
質問コーナーでは、日常の診療での具体的なお悩み相談が多く寄せられ、本テーマの関心度の高さがよくわかるセッションとなりました。
◆受講者の声~アンケートより~◆
【卒後33年目・外科】院長ですので病院としての方針に盛り込みたいと思います。
【卒後15年、精神科】診療所の医師としてはわかってはいたが・・・と耳が痛い話です。
【初期研修・1年目】ポリファーマシーへの取り組みは薬のみならず"適正な医療を提供する"という日々の心構えが基本だと実感した。
【卒後9年、内科】もともと不要な薬剤はへらしていたが、さらに調べて実行しようと思った
- 第2部:高齢者の身体診察
講師:洛和会丸太町病院 救急総合診療科 医長 上田剛士先生
第2部は「高齢者の身体診察」をテーマに、洛和会丸太町病院の上田剛士先生にご講演をいただきました。ご自身の名著「高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス」をベースに、本来なら4時間もかかる内容を1時間に凝縮してエッセンスをお伝えいただきました。
非典型的で病歴だけではわからない、という高齢者診療の特徴を踏まえながら、「何を疑いながら診療するべきか」という点に絞り、「感染症」や「心不全」など、誰もが押さえておきたい症状についてダイジェストで解説いただきました。驚くべきは、圧倒的なエビデンスの量。次々と登場するデータに、受講者も興味津々で聴き入っていました。
◆受講者の声~アンケートより~◆
【卒後32年目・内科】おおよそは知っていても細かい所見の取り方のコツがわかりました。
【内科】身体診察で注意すべきポイントをすごくわかりやすく教えていただき、大変勉強になりました。学んだことを明日からの診療に生かして、早く技術・経験として身に付けたいです。
【卒後11年、総合内科】高齢者の場合は問診も理学所見も再現性に乏しいことが多く、つい検査にたよってしまいがちだが、理学所見をちゃんと見なおそうと思った。
【医学生】教科書に載っていることがすべてではないことがよく分かりました。
- 第3部-①:めまい
講師:洛和会丸太町病院 救急総合診療科 医長 上田剛士先生
第3部前半では、前のセッションに引き続き、上田先生に「めまい」をテーマにご講演いただきました。めまいの原因は、末梢性、中枢性、心因性など分類事項が多く、診断を苦手とする人も多いテーマです。本セッションでは実際の症例を取り上げながら、「HINTS」というTIPSなどを紹介し、具体的な診察方法について解説いただきました。
後半は、ステージ上で診察室を再現し、後半規管型BPPVを誘発する「Dix-Hallpike法」と「Epley法」について実演を行いながら丁寧に解説をいただき、受講者にもたいへん好評でした。
◆受講者の声~アンケートより~◆
【内科】非常にわかりやすく、めまいの苦手意識が減りました。
【内科】Epley法、Dix-Hallpike法の実演は大変参考になりました。
【卒後3年目】めまい患者でのHINTS所見を積極的に取り入れたい。
【看護師】沢山の資料を準備していただき、わかりやすくあっという間に時間が過ぎました。
- 第3部-②:視力障害
講師:京都大学 医学教育推進センター 京都府立医科大学 眼科学教室 加藤浩晃先生
続いては、「視力障害」をテーマに京都大学医学教育推進センター、京都府立医科大学の加藤浩晃先生のご講演でした。
「視力障害」は、転倒や死亡リスクとなったり、うつの原因になるなどさまざまな影響を及ぼすため、高齢者診療においては欠かせません。
40分という限られた時間でありながら「眼科医への紹介のタイミング」「緊急性の高い症状」「患者さんへの説明の仕方」など、眼科医以外の医師も最低限押さえておくべきポイントを端的に解説いただきました。
受講者からは15問ちかくの質問が寄せられましたが、実臨床に基づいた的確かつスピーディな回答で、質問セッションもたいへん盛り上がりました。
◆受講者の声~アンケートより~◆
【卒後15年、精神科】高齢者の視力低下をこれまで加齢変化の側面が強く、積極的治療対象と考えていなかった。今回を機に考えを改めたい。
【卒後23年、内科】安易に点眼薬を出し過ぎだったので、もう少し真剣に診ようと思う。
【卒後5年、総合診療】本を読ませていただいていたので、その中でもわかりやすく鑑別されてありましたが、今回改めて講義をきいて、CRAO、緑内障発作を学べてよかった。
【卒後3年、内科】眼科の復習になり、実践で使えそう。
- 第4部:腰痛・膝痛
講師:医療法人鉄蕉会 亀田メディカルセンター スポーツ医学科 医長 服部惣一先生
本シリーズ最後のセッションは、「腰痛・膝痛」をテーマに、亀田メディカルセンタースポーツ医学科の服部惣一先生にご講演をいただきました。
「ズバリ整形内科」というテーマで、在宅や診療所など人的・物的資源の限られた環境でも診療するコツを中心にご講演頂きました。特に「コメディカルの活用」を強調され、理学療法士の方にもお越しいただき、実地に即した対応について解説いただきました。
ステージでは、患者役も登壇し、膝痛・腰痛解消のためのストレッチ方法や、エコーの使い方のデモンストレーションなどもあり、受講者も体を動かしながら楽しく学べるセッションとなりました。
◆受講者の声~アンケートより~◆
【内科】内科でも腰痛・膝痛のファーストアセスメントをしてみようと思います。
【卒後11年、総合内科】日々の診療で理学療法を患者に薦めていける。
【卒後10年、内科】多裂筋のストレッチや体幹トレーニングの方法は外来でも伝えられると思う。
【無記名目】エコーをもっと活用しようと思いました。
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