専攻医の年収は?年収を増やす方法やアルバイトをする際の注意点も紹介

公開日:2023/02/16

専攻医のリアルな年収は?年収を増やす方法やアルバイトをする際の注意点も紹介

専攻医として多忙な日々を送るなか、「業務量と年収が見合っていない」と感じたり、「同年代の医師はどれくらいの給与なのか」と気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに専攻医の平均年収の目安額を算出。さらに年収をアップさせたい方のために、おすすめのアルバイトも紹介します。

キャリアに関するお悩みやご相談はこちらから

専攻医とは

「専攻医」とは、2年間の医師臨床研修(初期研修)を修了し、日本専門医機構の定める専門研修プログラムに参加する医師のことです。

以前は初期研修医と後期研修医をまとめて「研修医」と呼んでいました。2018年4月に新専門医制度が開始されたことに伴い、「研修医」は初期研修医だけを指し、専門研修中の医師は「後期研修医」に代わって、「専攻医」と呼ばれるようになりました。

初期研修を終えた3年目医師の多くは、専門医資格の取得を目指し、専攻医へ進みます。

厚生労働省が初期研修修了者を対象に実施したアンケート(※)によると、「専門研修を行う予定はあるか」という設問において、全体(7,382人)の89.1%もの医師が「専門研修を行う」と回答しています。

※出典:厚生労働省「令和2年臨床研修修了者アンケート調査結果概要」

専攻医の平均年収は?

専攻医の年収は約655万円~940万円が平均的です。もちろん、勤務する都道府県や勤務先の経営母体、診療科目によって差はあります。

この平均年収額は、厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」をもとに、専攻医に相当する年齢25歳~34歳の医師の給与額から算出しました。

25歳~34歳の医師の中には初期研修医も含まれますし、30代後半~40代で専攻医になる方もいます。さらに厚生労働省の調査結果の給与額は、外勤アルバイト代を含まない額です。本記事で紹介する金額は専攻医のリアルな平均年収とは言えませんが、目安としてご覧ください。

           
25~29歳、30~34歳医師の平均年収
年齢階級 男女計 男性女性
25~29歳 654.8万円 697.1万円581.5万円
30~34歳 939.3万円 1,007.3万円781.7万円

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」

(職種)第5表 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
企業規模計(10人以上)、職種:医師、男女計

(職種)第7表 職種(特掲)、性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
企業規模計(10人以上)、職種:医師、男性、女性

  • 「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」=平均年収として算出
  • 「きまって支給する現金給与額」とは、就業規則などによって定められている条件で支給された現金給与額。手取りではなく、所得税、社会保険料などの控除前の額です。現金給与額には、基本給、職務手当、通勤手当、超過労働給与額も含まれます。

25~29歳の医師の平均年収は約655万円、30~34歳の医師の平均年収は約940万円という結果になりました。

前述のとおり、勤務するエリアや医療機関、診療科によっても年収相場は異なります。専攻医に限った話ではなく、医師・医療機関が多い都市部では年収相場は低めになり、地方やへき地と呼ばれるエリアは高めの傾向にあります。

勤務地別や診療科目別の平均年収について、くわしくは以下の記事をご覧ください。

医師の年齢別の平均年収推移

ここまで専攻医の平均年収を見てきましたが、専門医資格を取得し、医師としての充実期を迎える30代半ば以降の医師は、どのように年収が推移していくのでしょうか。

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」から、年齢階級別の年収推移を表にまとめました。

年齢階級別×男女別の平均年収推移
年齢階級 男女計 男性 女性
全年齢 1,378.3万円 1,469.9万円 1,053.7万円
25~29歳 654.8万円 697.1万円 581.5万円
30~34歳 939.3万円 1,007.3万円 781.7万円
35~39歳 1,259.5万円 1,297.4万円 1,136.7万円
40~44歳 1,478.1万円 1,521.1万円 1,307.6万円
45~49歳 1,655.7万円 1,738.8万円 1,342.0万円
50~54歳 1,908.7万円 1,927.1万円 1,829.6万円
55~59歳 1,701.2万円 1,760.2万円 1,401.0万円
60~64歳 1,833.9万円 1,861.3万円 1,381.0万円
65~69歳 1,783.5万円 1,813.0万円 1,585.0万円
70歳~ 1,607.3万円 1,672.2万円 786.5万円

出典:「令和3年賃金構造基本統計調査」

医学部入学から卒業、医師免許取得までストレートに進んだとして、専門医資格を取得するタイミングは30歳前後。
30~34歳の男性医師の平均年収は1,007.3万円、女性医師は781.7万円と開きがあります。ちょうど結婚・出産といったライフイベントが重なる時期であることが、女性医師の平均年収が低い理由と考えられます。

年齢と共に平均年収は上がり、ピークを迎える50~54歳の平均年収は男性医師で1,927.1万円、女性医師は1,829.6万円という結果になりました。

専攻医の年収を増やす方法は

2年間の初期臨床研修を終えた専攻医は、一定の診療能力や手技を身に付けています。さらに若く体力があるため、医療機関にとっては貴重な戦力です。

しかし、専攻医を正規職員とは別の給与体系にしている医療機関も存在し、年収相場は低く抑えられる傾向にあります。

専攻医は医師として研鑽を積む時期と理解しつつも、あまりの多忙さに「今の年収では見合わない」と思ってしまう方も多いのではないでしょうか。

また、働きながら奨学金を返済している方も少なくありません。

そんな専攻医が年収を増やす方法として、アルバイトがあります。主たる勤務先以外で働くことから、アルバイトは「外勤」とも呼ばれます。

アルバイトは収入を得られるだけではなく、ふだんとは異なる経験ができる場でもあります。クリニックでCommon Diseaseの対応力を磨いたり、検査の症例数を積んだり、将来を見据えて勉強になる勤務先を選びましょう。

研修医はアルバイト禁止?

「専攻医はアルバイトができると言うけれど、研修医は禁止?」

厚生労働省の「医師臨床研修に関するQ&A(研修医編)」を見ると下記の通り、「(初期)研修医は研修期間中に診療のアルバイトをすることはできない」と書かれています。

質問No1 研修期間中に診療のアルバイトをしても良いのですか。

回答
医師法第16条の2では、「診療に従事しようとする医師は、臨床研修を受けなければならない。」、同法第16条の3で「臨床研修を受けてい る医師は、臨床研修に専念し、その資質の向上を図るように努めなければならない。」と規定されています。また、臨床研修に関する省令において、「臨床研修 病院は、届け出た研修プログラム以外の研修プログラムに基づいて臨床研修を行ってはならない」と規定されています。
したがって、研修期間中に診療のアルバイトをすることはできません。

引用:厚生労働省「医師臨床研修に関するQ&A(研修医編)」

しかし専攻医になると、勤務先の就業規則等で禁止されていない限り、アルバイトや副業が可能で、年収の大幅アップが期待できます。

医局に所属している場合は、週1日程度「外勤日」や「研究日」が設けられていることが多く、その日に別の医療機関でアルバイトをするのがよくあるパターンです。

専攻医におすすめのアルバイト

専攻医の貴重な収入源であるアルバイト。決まった曜日に働く「定期非常勤」と単発の「スポット」があります。

専攻医は日中の診療が忙しく、スケジュールが読めないこともあるでしょう。そのため、最初は単発の「スポット」から始め、慣れてきたら「定期非常勤」で働く方が多いです。

効率よく働けるアルバイトとして、「ゆったり当直」「健診」は人気があります。しっかり稼ぎたい方には、「救急対応のある当直」もおすすめです。

働くエリアによりますが、1回あたりの給与相場の目安を紹介します。

  • ゆったり当直:3.5~4.5万円程度
  • 健診:半日勤務4万円程度、日勤6~7万円程度
  • 救急対応のある当直:6~9万円程度

週1回5万円のアルバイトをした場合、1ヶ月(4週)で20万円、1年間(1ヶ月20万円×12)で240万円程度の収入が得られる計算です。

専攻医がアルバイトをする際の注意点

前述のとおり専攻医のアルバイトは可能ですが、勤務先によっては、就業規則でアルバイトや副業が禁止されている場合もあります。知らずにアルバイトをしてしまうとトラブルになりかねないため、事前に確認しましょう。

また、専攻医の本業は専門研修プログラムで研鑽を積むことです。アルバイトは本業に支障が出ない範囲に留めましょう。

ここからは、専攻医がはじめてアルバイトをする際に注意したいポイント3つをご紹介します。

  1. 勤務条件、勤務内容を確認する
  2. 勤務先ごとのシステムやルールを確認する
  3. トラブルが発生したときの対応・相談先を確認する

①勤務条件、勤務内容を確認する

「思っていた勤務内容と違った」「終了予定時間を過ぎても終わらず、常勤先に遅刻してしまった」ということがないよう、勤務時間や勤務内容、そして給与についても必ず確認しておきましょう。

  • 給与は時給制なのか、1回あたりの金額か
  • 交通費支給の有無
  • 救急対応の頻度
  • 受け持つ患者数
  • 開始時間と終了予定時間(当直の場合、常勤先の出勤時間に間に合うか)

②勤務先ごとのシステムやルールを確認する

医療機関が変わればカルテや使用できる資源は異なります。「電子カルテのメーカーが違って、戸惑った」なんてことも。

人材紹介会社でアルバイトを探すのであれば、下記のような細かい内容について、事前に確認できることもあります。気になる点があれば、人材紹介会社の担当者に聞いてみましょう。

  • 電子カルテのメーカー
  • 持ち物
  • 食事が出るかどうか、検食するのか
  • 薬剤やシステムなど、使用できる医療資源
  • どのような検査ができるのか

③トラブルが発生したときの対応・相談先を確認する

専攻医は一通りの診療技術を身に付けていますが、アルバイト先では一人で判断が求められる症例も少なくありません。勤務初日に、困ったときや万が一トラブルが発生した際の相談先・連絡先を確認しておくと安心です。

  • 困ったときに相談できる上級医やスタッフがいるのか
  • 対応困難な症例の場合、紹介先は決まっているのか

専攻医の年収やアルバイトで気になることは、医師専門のエージェントに相談しよう

今回は専攻医の平均年収目安と、年収をアップする方法としてアルバイトを紹介しました。

専攻医は基本的にアルバイトが可能ですが、勤務先によっては禁止されていたり、細かいルールが決まっていたりするため、事前に必ず確認しましょう。

とはいえ専攻医の方の中には、「アルバイトを始めたい」「年収を上げたい」と考えているものの、何から手を付けたらいいのか、わからない方もいるでしょう。

そのような方は、医師専門のエージェントである民間医局の利用がおすすめです。

民間医局では医療業界に精通したエージェントが、給与の高さだけではなく、「働きやすさ」や「将来のキャリア」も一緒に考えながら、アルバイト探しをサポートします。

年収やアルバイトで少しでもお悩みの方は、お気軽に民間医局にご相談ください。

定期非常勤もスポットも
アルバイトをするなら   
民間医局へ。