医師の平均年収ランキング【年代・診療科・地域・経営母体別】

更新日:2023/02/16 公開日:2022/03/16

医師の平均年収は?年齢・診療科・地域別ランキング

「同年代に比べて、自分の年収は安い?」

医師の年収は年代、診療科目、経営母体、地域によって異なります。勤務内容や勤務日数も千差万別のため、実態を把握するのは難しいものです。
この記事では、厚生労働省の調査結果や民間医局の過去転職者のデータをもとに、勤務医の平均年収をランキング化しました。ご自身の年収と比較してどうか、参考値としてご覧ください。

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医師の平均年収は1,378.3万円

まずは厚生労働省が公表している、「令和3年賃金構造基本統計調査」で医師の平均年収を確認します。この調査は「賃金センサス」と呼ばれ、毎年実施されています。雇用される労働者に対し、その賃金の実態を雇用形態、職種、性別、年齢、勤続年数、経験年数などで分析したものです。

企業規模10人以上のデータから、直近の勤務医の平均年収の推移を見てみましょう。

勤務医の平均年収
調査年度 男女計 男性 女性
令和3年 1,378.3万円
(45.3歳、7.7年)
1,469.9万円
(46.8歳、8.0年)
1,053.7万円
(39.9歳、6.4年)
令和2年 1,440.3万円
(45.5歳、7.1年)
1,522.5万円
(47.2歳、7.9年)
1,188.3万円
(40.6歳、5.0年)
令和元年 1,169.2万円
(40.7歳、5.2年)
1,226.9万円
(41.6歳、5.5年)
1,016.4万円
(38.2歳、4.4年)

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

  • ()内の年齢は平均年齢、年数は勤続年数
  • 平均年収額は、きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額で算出

医師に限ったことではありませんが、男性に比べると女性の年収は低い結果となっています。
本来、勤務先(所属先)、年齢、勤続年数、役職、診療科、働き方が同じなら、給与に男女差はないはずです。労働基準法第4条で、「男女同一賃金の原則」が定められています。

それでも年収に男女差が生じる理由として、以下が考えられます。

  • 女性医師の平均年齢が男性医師より6.9歳低い
  • 女性医師の割合は年々増加しているが、男性医師の数そのものが多く、その分給与の高い要職に就く男性医師も多い
  • 子育てや介護などで時短勤務中の医師の割合が、女性医師の方が多い

民間医局を利用して転職した医師の平均年収は?

次に、2019年1月~2022年2月までの民間医局を利用して転職した医師のデータから、採用決定時の想定年収で平均値、中央値を見てみます。

この想定年収とは、採用決定時に明示された月額給与(算定可能な諸手当を含む)の12ヶ月分と、想定賞与を含んだ額です。変動する手当、外勤アルバイト代などは含まれていません。

年収の平均値、中央値とは

  • 平均値:すべての年収の値の合計をデータの数で割った値
  • 中央値:データを昇順もしくは降順に並べたときに、ちょうど中央に位置する値

「平均値」は、特殊な理由などによる極端に離れた値の影響を受けるため、実際の感覚からはズレる場合があります。
これに比べ、「中央値」は極端に離れた値の影響を受けづらく、現場の実態に即したリアルな年収を把握しやすい数値となります。

今回は民間医局が保有する全国の医師求人情報と、過去の転職データから算出した「中央値」をベースに、勤務医の年収について解説していきます。

民間医局を利用して転職した医師の平均年収

民間医局を利用して転職した医師の年収中央値、平均値
年収中央値 年収平均値
男女合計(平均年齢46.5歳) 1,403万円 1,425万円
男性(平均年齢48.5歳) 1,500万円 1,504万円
女性(平均年齢42.0歳) 1,200万円 1,252万円

年収中央値は1,403万円、平均値は1,425万円でした。
男女合計、男女別で見ても、中央値と平均値に大きな差はありません。

次に男女計の中央値1,403万円と、厚労省の「令和3年賃金構造基本統計調査」結果である平均年収1,378.3万円を比べると、民間医局を利用して転職した医師の年収の方がやや、高い水準となっています。

女性医師については、民間医局を利用した場合の年収中央値1,200万円、厚労省の調査結果は1,053.7万円と、民間医局の成約実績の方が200万円ほど高い結果となりました。

年収は採用側に直接言いづらいものですが、転職エージェントが間に入ることで、交渉しやすくなります。
民間医局を利用して転職した医師の年収が比較的高めなのも、「交渉力」が理由の一つと言えます。

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年代別×男女別の年収とキャリアの関係性

民間医局を利用して転職した医師のデータから、年代別・男女別による年収の中央値を見ていきましょう。ご自身の年代・性別の年収と比較してみてください。

年代別×男女別の勤務医の年収中央値
年代 男女合計 男性のみ 女性のみ
25~29歳 980万円 1,044万円 900万円
30~34歳 1,170万円 1,200万円 1,100万円
35~39歳 1,350万円 1,440万円 1,200万円
40~44歳 1,440万円 1,500万円 1,265万円
45~49歳 1,500万円 1,550万円 1,375万円
50~54歳 1,600万円 1,650万円 1,418万円
55~59歳 1,601万円 1,650万円 1,400万円
60~64歳 1,582万円 1,647万円 1,440万円
65~69歳 1,400万円 1,400万円 1,310万円
70~74歳 1,200万円 1,200万円 1,150万円

参照:民間医局の常勤成約実績

30代前半までは男女ともに年収は低く、50代にピークを迎えることがわかります。

年収は経験年数が大いに影響するものです。ここからは年代別のキャリアと年収について解説していきます。

20代(~卒後5年目)

医学部を最短で卒業するのが24歳。
初期臨床研修を修了するのが26歳。

その後、多くの医師が専攻医となり、3~5年間の専門研修プログラムを経て、最短で専門医資格を取得できるのが29歳となります。

医師の20代は研修医や専攻医、さらに学位取得など、医師として“学ぶ”期間でもあるため、年収相場は低くなっています。

専攻医の年収額の目安は、下記の記事で解説しています。参考にしてください。

30代(卒後5年~15年目前後)

30代に突入すると年収は大きく増加し、男女ともに1,000万円を越えてきます。
男性医師の年収中央値は30代前半で1,200万円、後半で1,440万円。女性医師は30代前半で1,100万円、後半で1,200万円となります。

30代は多くの医師が専門医資格を取得しており、さらにサブスペシャルティ領域などの資格も活かしながら、現場の第一線で活躍する年代です。体力的にも充実し当直や残業も増え、医療機関にとっては大きな“戦力”となります。その分、年収は上がりやすくなります。

40代(卒後15~25年目前後)

男性医師の年収中央値は40代前半で1,500万円、後半で1,550万円。女性医師は40代前半で1,265万円、後半で1,375万円です。

男性医師の中央値が40代前半と後半で50万円しか増加していないのに対して、女性医師は110万円と大きく増加しています。理由として、40代後半になると子どもの高校・大学進学などで子育てが一段落し、フルタイムで勤務する女性医師が増えてきたことによるものと考えられます。

30代は臨床現場での活躍が主ですが、40代は組織のまとめ役など、責任のある立場に就く年代です。
所属先が大学病院(医局)であるならば講師や准教授、関連病院の部長、さらに40代で教授に就任する医師もいますし、市中病院では医長、部長といったポジションが与えられます。管理職や人材育成・教育を任されるようになり、年収も増加していきます。

50代(卒後25~35年目前後)

男性医師の年収中央値は50代前半・後半とも1,650万円。女性医師は50代前半で1,418万円、後半で1,400万円です。男女合せた中央値が1,600万円と、勤務医では50代が最も年収の高い時期となります。

この年代は臨床では経験豊富なベテラン医師として活躍しており、さらに多くの医師が何らかの役職に就いています。医局所属では教授、市中病院では副院長や院長といった病院経営に携わる立場にもなります。
50代は役職のなかでも院長や教授など上位に占める割合も多くなり、年収もピークを迎えます。

60代(卒後35年目~)

60歳を過ぎると勤務医の年収は下降していきます。
男性医師の年収中央値は60代前半で1,647万円、後半で1,400万円。女性医師は60代前半で1,440万円、後半で1,310万円となり、60代後半になると男女共に年収は大きく下がっていきます。

50代後半から当直やオンコール勤務が体力的にも厳しくなり、勤務時間が減少。そして勤務医として最後のターニングポイントとなる定年を迎えます。

国立病院機構は医師の定年を65歳に定めています。民間病院の場合は定年制度を廃止している病院もありますが、いずれにしても役職がなくなるケースが多いでしょう。

定年後の再雇用による年収ダウンや、介護老人保健施設や療養型病院への転職などによって年収は下降していきます。

それでも、70代でも男女共に年収中央値1,000万円以上をキープできるのは、一般の職種と比べて医師の希少性の高さを物語っています。

診療科別の年収ランキング

一般的に内科系よりも外科系の方が、給与水準が高いと言われています。診療科の違いによっても年収の差があるのかを見ていきます。

診療科別(系)の年収中央値
順位 科目 年収中央値
1 外科系 1,650万円
2 内科系 1,403万円
3 他科系 1,356万円

参照:民間医局の常勤成約実績

やはり外科系の年収中央値が最も高く、内科系と比較して約250万円もの差がありました。内科系と外科系の年収の差は、「働き方の違い」や「働く時間の長さ」が主な要因です。

他科系の年収中央値は、内科系より50万円ほど低い結果となっています。

外科系、内科系、他科系それぞれの年収について、解説していきます。

外科系の主な診療科別年収

外科系の年収中央値ランキング
順位 科目 年収中央値
1 美容外科 2,200万円
2 血管外科 1,791万円
3 整形外科 1,758万円
4 外科 1,688万円
5 心臓血管外科 1,635万円
6 消化器外科 1,620万円
7 脳神経外科、呼吸器外科 1,600万円
9 小児外科 1,500万円
10 乳腺/内分泌外科 1,320万円
11 形成外科 1,300万円

参照:民間医局の常勤成約実績

「美容外科」は自由診療であり、医師一人ひとりの実績が直接給与に反映されやすく、年収の中央値が2,200万円と他の外科系と比較しても群を抜いて高くなっています。

こうした特殊な事情のある「美容外科」を除いたとしても、外科系の年収は内科系よりも250万円ほど高い結果となっています。
その要因として、外科系は緊急手術など命に直接関わる場面が多く、

  • 内科系と比べて緊急性が高いことが多い(オンコール勤務が多い)
  • がん手術、移植手術といった長時間の手術がある
  • 術後管理も担う

など、長時間勤務になりやすい特徴があります。

このように外科系は「勤務時間が長くなる」「働き方が不規則になりがち」で、かつ、手術には高度な専門性・技術が求められることから、年収は高めとなっています。

さらに日本では外科医の数そのものが少なく、外科医の需要が高いです。

内科系の主な診療科別年収

内科系の年収中央値ランキング
順位 科目 年収中央値
1 循環器内科 1,601万円
2 透析科 1,600万円
3 呼吸器内科 1,573万円
4 腫瘍内科 1,550万円
5 内科、訪問診療 1,500万円
7 神経内科 1,472万円
8 消化器内科 1,400万円
9 血液内科 1,397万円
10 総合診療科 1,351万円
11 糖尿病科 1,320万円
12 腎臓科 1,265万円
13 健康診断 1,100万円

参照:民間医局の常勤成約実績

内科系の求人は無床クリニックで外来や検査中心の診療科も多く含まれます。それらは当直がありません。
緊急手術などのある外科系と比べれば労働時間が短いケースが多いため、年収は外科系よりも低い傾向にあります。

内科系のなかでも「循環器内科」の年収が高いのは、急性心筋梗塞といった救急患者に対するカテーテル治療など、24時間体制で緊急処置を行うことが多い診療科だからです。

「透析科」も内科系のなかでは年収が高めです。超高齢化社会により人工透析を受ける患者は増加しています。また人工透析は長期にわたる治療となるため、安定的な診療報酬が望めます。人工透析を専門とする医師の数も少ないことから、年収相場が高めとなっています。

「呼吸器内科」「腫瘍内科」が高いのも、超高齢化社会による呼吸器系の慢性疾患や肺炎などの急性疾患、がんの罹患数の増加など、全国的に高需要なことが要因であると推測されます。

近年は在宅医療のニーズが高まっていることから、「訪問診療」を行うクリニックの求人数も増えています。「訪問診療」の年収は内科系の中央値である1,403万円より約100万円高い、1,500万円という結果になっています。

「健康診断」の年収が内科系のなかで最も低いのは、当直や残業がほぼなく、時短勤務や週3~4日勤務も可能など、他科と比べて労働時間が短いためです。その分、ゆったりとした働き方が実現しやすいと言えます。

他科系の主な診療科別年収

今回の調査で他科系に含まれる診療科は、以下の通りです。

美容皮膚科、肛門科、リハビリテーション科、救命救急科、緩和ケア科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、産婦人科、眼科、婦人科、精神科、皮膚科、麻酔科、感染症科、小児科、産業医、放射線科

他科系の年収中央値ランキング
順位 科目 年収中央値
1 美容皮膚科 2,000万円
2 肛門科 1,800万円
3 リハビリテーション科 1,620万円
4 救命救急科 1,521万円
5 緩和ケア科、泌尿器科、耳鼻咽喉科 1,500万円
8 産婦人科 1,470万円
9 眼科 1,380万円
10 婦人科 1,370万円
11 精神科 1,353万円
12 皮膚科、麻酔科、感染症科 1,300万円
15 小児科 1,236万円
16 産業医、放射線科 1,200万円

参照:民間医局の常勤成約実績

「美容皮膚科」の年収が群を抜いて高いのは「美容外科」と同じく、自由診療という特殊な要因によるものです。

「肛門科」の年収が高い理由は、大腸内視鏡検査や外科的処置など診療単価が高く、かつ、若い人から高齢者まで患者数が多いことが挙げられます。

「泌尿器科」「耳鼻咽喉科」は前立腺がん、頭頚部がんといった高度な外科治療も行うため他科系のなかでも年収は高くなっています。

「リハビリテーション科」「救命救急科」「緩和ケア科」などの診療科も年収は高めです。

一方で、「皮膚科」「眼科」「麻酔科」「婦人科」は女性医師の比率が高く、出産・子育てなどによる時短勤務など、ワークライフバランスに重点を置いて勤務している医師が多い傾向が考えられます。

勤務地別の年収ランキング

勤務医の年収は一般的な会社員とは逆で、「地方に行けば年収が高くなり、都市部では年収が低くなる」と言われています。実際のところはどうでしょうか?

勤務地別の医師の年収中央値ランキング

参照:民間医局の常勤成約実績

ランキングを見ると、東京都(1,396万円)大阪府(1,401万円)といった大都市に比べ、山口県(1,800万円)、北海道(1,700万円)、高知県(1,696万円)といった地方の方が年収が高い結果となっています。

北海道の年収相場が高めと言われているのは、札幌市周辺に道内の医師のほとんどが集中しており、なおかつ北海道は面積が広く、医師偏在によってそれだけ医師不足が問題となっている地域が非常に多いためです。

都心だからといって必ずしも年収相場が低いということではありません。医師の年収は勤務内容や経験年数によっても大きく変動します。このランキングで下位となった都道府県でも、高額給与の求人はいくつもあります。

都市部と地方の年収の差について

地域による医師の平均年収の差は、「地方に行けば年収が高くなり、都市部では年収が低くなる」のではなく、「医師が不足している地域では、年収が高くなりやすい」という方が正確でしょう。

東京都にも離島やへき地があるように、都市部であっても医師偏在があり、医師数の少ない地域や医療機関が存在します。

医師不足が深刻な地域や医療機関では、医師を確保するために給与水準を高く設定する必要があり、若い医師であっても高額の年収が期待できます。
加えて、地方(特にへき地や離島)は家賃などが安く、出費も少なくてすみます。貯蓄がしやすいことは大きなメリットです。

一方、都心や都市部は地方と比べて医師数は圧倒的に多いですし、医療機関も充実しています。比例して求人数が多いことから、自分に合った転職先を見つけやすいでしょう。医療機関にとっては、年収が低めでも人材確保がしやすいという特徴があり、都市部は地方と比べて高い年収を得にくい傾向にあります。

経営母体による医師年収の違い

年収は勤務先の経営母体別によっても、大きな違いがあります。
経営母体別の平均年収については、中央社会保険医療協議会「第23回医療経済実態調査の報告(令和3年実施)」に基づき解説していきます。

経営母体別の平均年収ランキング
順位 分類 医師の平均年収 病院長の平均年収
1 その他
(公益法人、学校法人、医療生協、その他の法人など)
1,535万円 2,373万円
2 医療法人
(医療法人である民間病院など)
1,506万円 3,110万円
3 公立
(都道府県立、市町村立などの病院)
1,472万円 2,153万円
4 社会保険関係法人
(健康保険組合・連合会、共済組合・連合会など)
1,427万円 1,962万円
5 公的
(日赤、済生会、北海道社会事業協会、厚生連など)
1,384万円 2,241万円
6 国立
(国、国立病院機構、国立大学法人など)
1,323万円 1,876万円
7 診療所
(入院診療収益のある診療所を含む)
1,078万円 2,729万円

出典:中央社会保険医療協議会「第23回医療経済実態調査の報告(令和3年実施)」

医療法人が運営するいわゆる民間病院(市中病院)は、勤務医も病院長も年収が高い結果となっています。特に病院長の年収が他の経営母体と比較して群を抜いて高いことが特徴です。
大学病院では私立大学病院よりも国立大学病院の方が低い傾向にあり、国立病院ではさらに低くなります。

勤務医が高い年収を得るには、民間病院の方が実現しやすいと言えます。

大学病院・国公立病院

大学病院の年収相場は低く、私立大学よりも国立大学の方が低い傾向にあります。
特に若手医師の年収の低さは顕著で、初期研修医の年収も大学病院と市中病院では100万円以上の差が生じてきます。

大学病院や国公立病院の勤務医の年収が低いのは、これらの病院が利益率にとらわれない医療を継続する役目があるからです。
大学病院は臨床はもちろん、医師教育や研究の役割が大きいですし、国公立病院は不採算性医療や政策医療を担っているという特性があります。
そのため、大学病院や国公立病院は多くの医師を抱えています。利益が少なく医師の数が多ければ、必然的に年収は抑えられます。

しかし、民間病院にはない数々のメリットがあります。
大学病院では先進医療や研究などのアカデミックな活動ができますし、資格取得がしやすいという特徴があります。
国公立病院では民間病院では行っていない医療を経験できます。公務員・準公務員として手厚い福利厚生もあり、退職金は規程に基づいて支給されます。

民間病院(市中病院)

経営母体のなかで、民間病院(市中病院)の勤務医の年収は高い水準にあります。勤務医が高い年収を得るための選択肢としては、民間病院への勤務が近道です。

ただし、大学病院や国公立病院とは異なり、利益追求が強い側面もあります。病院の規模によっては医師数やスタッフ数が限られ、医師一人ひとりが責任を担う範囲が広く、担当患者数も多くなります。それが結果として年収の高さに繋がっていることを理解しておきましょう。

クリニック

最近では都市部を中心にクリニックの求人数が増加中で、転職事例も増えています。

クリニックは当直なし、時短勤務といった、ワークライフバランスの取りやすい求人が多いことが特徴です。
クリニックへの転職によって年収が下がることがあったとしても、時給換算してみると実は大幅にアップしていたという事例も少なくありません。

開業医・診療所院長

厚生労働省の「第22回医療経済実態調査(令和元年実施)」によると、勤務医より開業医の方が、平均年収が2倍近く高い結果となっています。

  • 開業医の平均年収:2,763万円
  • 勤務医の平均年収:1,491万円

開業医は勤務医よりも高収入を得られやすいですが、勤務医とは異なり、収入のすべてを自分の自由には使えません。
開業資金や医療機器などの購入費の返済、月々の家賃や人件費の支払いなどがあり、経営という大きなリスクも背負うことになります。

勤務医にはないリスクを負いますが、開業医は自分次第で年収が大きく伸びる可能性があります。これは開業医しか味わえない、大きな魅力でしょう。

医師が年収をアップさせる秘訣は?

医師が年収をアップさせる秘訣は?

ここまでさまざまな角度から、医師の平均年収について解説しました。

医師は圧倒的な売り手市場であり、高収入を得やすい職業です。そんな医師がさらなる年収アップを目指すためには、どんな方法があるのでしょうか。

年収アップを目指す3つの方法

年収アップを狙う働き方には、大きく分けて3つの方法があります。

  1. 医師不足の地域・医療機関に転職する
  2. 民間病院に転職する
  3. アルバイトをする

1. 医師不足の地域・医療機関に転職する

へき地や離島だけではなく、都市部でも中心部を離れると、慢性的な医師不足に陥っているエリアは少なくありません。

医師少数地域や医師不足にある医療機関は常に「医師の需要が高く、供給が足りない」状況です。そのため年収水準も高めに設定される傾向にあります。
年収アップだけではなく、そうした必要とされている場所で働くことは、医師としてのやりがいも大きいはずです。

2. 民間病院に転職する

大学病院や国公立病院に勤務されている医師が年収アップを狙う一番の近道は、民間病院に転職することです。

大学病院や国公立病院の多くが非採算領域での診療を行っているため、経営で苦労している医療機関が少なくありません。従って給与水準の引き上げは難しい状況にあります。※

※参考:厚生労働省「第23回医療経済実態調査(医療機関等調査)」

一方、民間病院は利益を上げることも重要であるため黒字傾向の病院が多く、医師一人が受け持つ患者数が多くなるなど仕事量は増えますが、それが年収の高さとして反映されています。

3. アルバイトをする

すでに年収相場の高い勤務先で働いており、さらに年収アップを狙いたい医師は、アルバイトをする方法があります。

大学病院の医師のほとんどは、アルバイトによって収入の不足分を補っています。特に大都市ではアルバイト求人が豊富で、希望に合うアルバイトは比較的見つけやすいでしょう。
常勤先と異なる医療も経験できるため、スキルアップという面でもアルバイトは有効です。

ただし、以下のように身分や勤務先によってはアルバイトが禁止されているケースもあります。

  • 初期臨床研修医である
  • 公務員である
  • 就業規則でアルバイトが禁止されている
  • 医局斡旋以外のアルバイトは禁止されている

アルバイトをする際は、規則に反していないか必ず確認しておきましょう。

医師アルバイトの時給相場

年収アップのために、常勤に加え定期非常勤やスポットアルバイト(単発のアルバイト)をする医師が多いことをお伝えしました。
では、医師のアルバイトの給与相場はどのくらいなのでしょうか?

アルバイトの相場

  • 時給:1万円~1万2千円
  • 日給:5万円~10万円

多くの医療機関がアルバイトを時給1~1万2千円ほどで募集しています。
半日(1コマ)5時間以上の1回のアルバイトで、5~6万円ほどの収入が見込めます。
毎週1回、半日(1コマ)のアルバイトなら年間200~300万円、1日8時間のアルバイトなら年間400~500万円ほどの増収が可能です。

日給は5~10万円と相場に大きな開きがありますが、診療科の違いや、「日勤」「当直」「救急対応あり」といった勤務内容によって変わります。

「急性期病院での当直」や「救急対応ありの当直」の場合は日給が高くなりますし、高い専門性を求められる専門外来、各科の高度な専門的業務(内視鏡、手術、麻酔など)を行う場合も高額となります。

ラクして稼げる!という美味しいアルバイトはなかなかありません。しかし業務負担がそれほど大変ではなく、時給換算すると「割に合う」アルバイトはあります。

はじめてアルバイトをする若手医師向けに、「勤務内容と収入のバランスが良い」アルバイトを厳選しています。詳しくは以下の記事をご覧ください。

フリーランス医師は常勤医よりも稼げる?

フリーランス医師とは、どの組織にも属さず、また開業医でもなく、定期非常勤やスポットアルバイトのみで生計を立てている医師のことです。

フリーランス医師は自由に仕事を選ぶことができ、嫌な仕事なら断ることもできます。勤務医には絶対にできない、フリーランス医師ならではの魅力でしょう。
さらに収入面の高さも大きな魅力だと言われていますが、フリーランス医師は勤務医よりも本当に稼ぐことができるのでしょうか?

フリーランス医師と勤務医の年収を比較してみます。

フリーランス医師の年収

1日8時間、時給1万円のアルバイトを週5日した場合の収入を算出しました。

単位 収入 計算式
1週間 約40万円 8時間×時給1万×5日
1ヶ月 約160万円 1週間40万円×4週
年間 約1,920万円 1ヶ月160万円×12ヶ月

勤務医の年収

民間医局が算出した、全年代の男女合計の勤務医の年収です。

中央値 平均値
1,403万円 1,425万円

勤務医の年収中央値1,403万円(全年代の男女合計)に対して、フリーランス医師の方が400万以上年収が高くなることになります。10年で換算すると4,000万という大きな開きです。

確かにフリーランス医師は稼げる働き方だといえますが、いくつかのデメリットがあることを知っておく必要があります。

フリーランス医師のデメリット

  • 仕事と収入が不安定
  • 資格取得が難しい
  • スキルアップのためのバックアップがない
  • 医療事故が起きた際のバックアップがない
  • 自己負担が多くなる(学会参加費や交通費、技術・知識の習得費用など)
  • 税金や保険料、年金は全額自分で支払うため事務作業が増加する

フリーランス医師は勤務医よりも稼ぐことができますが、すべてにおいて自己負担、自己責任となるリスクがあります。働き方も収入も不安定になりがちであることを理解しておきましょう。

年収は大切だが、年収“だけ”で判断しない

年収は大切だが、年収“だけ”で判断しない

1年間で年収に100万円の開きがあれば、10年で1,000万円、医師人生では3,500万~4,000万円もの収入差が生まれることになります。年収は医師が勤務先を選ぶ際にとても大切な要素の一つであることは間違いありません。

だからといって、年収“だけ”で専門科や勤務先などを決めることはおすすめしません。これまで解説してきたように、年収の差にはそれなりの理由があるからです。

  • 担当患者数の多さ
  • 緊急手術やオンコールなど働き方の違い
  • 求められる専門性の高さ(専門性が高くなればリスクも高くなる)
  • 労働時間の長さ

年収が高いのには理由があり、裏を返せば高い年収には、それに見合った働き方が求められるということです。

それでも医師としての「やりがい」で満足できれば良いでしょう。ところが理想の働き方にはほど遠く、精神的ストレスやプレッシャーに苛まれ、医師としての「やりがい」や「存在意義」を感じることができないのであれば、いくら年収が高くても本末転倒です。

大切なのは、自分の性格や目標、理想の働き方と照らし合わせて、どのような勤務先や診療科が自分に最も適しているのかを判断することです。 たとえ年収相場が低い医療機関であっても、自分の性格や目標、理想の働き方に最適な環境であるならば、医師としてのやりがい、満足度は大きいでしょう。

また、大学病院は労働時間と年収とのバランスが見合っていない状況が問題となっていますが、今後は「医師の働き方改革」の施行によってタスクシフティング(業務移管)が進み、診療科ごとに異なる労働時間の長さ、働き方の差が縮まっていくでしょう。

転職するなら、年収・やりがい・働き方のバランスが取れた勤務先を

勤務医が転職先などキャリアを選択する際に大事なのは、年収とやりがいと働き方のバランスです。この3つのうちどれか1つが大きく欠けていると、後悔する確率が高まります。

転職で後悔しないためにぜひ活用いただきたいのが、医師の人材紹介会社です。
年収データは求人情報などに提示されていますが、やりがいや働き方については、その医療機関で実際に働かないと本当のところはわかりません。
人材紹介会社の転職エージェントは、各医療機関の表には出ていないさまざまな情報を見聞きしています。そして年収はもちろん、働き方の交渉も代行します。

自分にとって、年収とやりがいと働き方のバランスが丁度いい勤務先が見つかるはずです。

現在の年収に不満のある方や年収アップを目指したい方が、自分の理想とする働き方を損なうことなく、「やりがい」をもって働いていただくために、民間医局は一人ひとりに最適な選択肢をコーディネートします。転職支援サービスは無料でご利用いただけますので、お気軽にご相談ください。

民間医局の常勤成約実績概要

  • 2019年1月から2022年2月に、民間医局を利用して常勤成約された医師会員のデータから算出しました。対象のサンプル数や年齢、勤務内容等は都道府県や科目によっても異なります。本記事は参考値としてご覧ください。
  • 年収の数値は、常勤先の固定給+採用条件で決まっている諸手当・賞与を含んだ額です。変動する手当、外勤アルバイト代、講演・執筆料などは含まれておりません。

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