民間医局を利用したきっかけを教えてください。
一つには、大学医局の関連病院で経験する範囲以上に、整形外科医としての医療の幅や深さをより追求したいと考えたからです。患者さんも、地方と都心では医療に対する要求水準が違いますし、一つの地域に留まるよりそれだけ医者としてのスキルを磨く機会も増えます。そこで民間医局を利用すれば、医局関連の限られたエリアの病院だけでなく、都心の病院等での勤務の道も開けるかもしれないと考えました。また、将来開業を検討する際にも、医療の地域特性を知っておくと候補地の選択などに役立つかもしれないと考えた部分もあります。
医局の関連病院での勤務は契約に基づいていないことが多いため、例えば教授交代などで医局の方針が急に大きく変わることによって、当初の勤務条件を全て反故にされたりという形で影響を受ける場合も多々あるわけです。しかし、民間医局を介することによって、書面でのきっちりとした契約に基づく勤務ができるのも魅力でした。
民間医局を選んだ理由は何ですか?
従来果たしてきた大学医局の役割を、民間医局がこれからは担ってくれるという期待がありました。大学医局は、医師をさまざまな関連病院に派遣しながら経験を積ませ、同時に学術研究を行い、その成果を地域医療に還元するということをこれまでやってきましたよね。ところが、大学病院の独立行政法人化によって効率的な病院経営が重視されるようになり以前のような懐の深さが失われていっているように感じます。医師のキャリア形成に配慮する余裕が失われつつあるということだと思います。
また、ドクター側も専門性を深めつつ、プラスアルファの能力も求められている中、多様な経験を積む機会を望んでいます。大学医局の枠に縛られることなく、医師としてのキャリアアップのためなら、勤務場所は問わないという人もいるわけです。ですから民間医局なら、人材紹介会社としての立場から、医師側のニーズにぴったり合う病院を紹介してくださるので、適材適所が実現し、医療の最適化にもつながるんじゃないかと感じています。
実際、民間医局を利用してみて、いかがでしたか。
会員登録後、早速担当エージェントの方から連絡があり直接お会いしました。その時は、医局ではとても話せないことも含め、私の思いのたけを存分に話すことができたのが嬉しかったですね。私の場合、非常勤の案件をお願いしていますので、どんな病院が紹介されるかわからないという不安を持っています。でも、私の考えをしっかり理解してくれているエージェントの紹介なら大丈夫という安心感がありますね。
民間医局を利用して良かったと思う点を教えてください。
忙しい私に代わって、面倒な各種手続きをやってくれるのがありがたいですね。また、待遇などの条件交渉も仲介してくれるのは助かります。医療は一種ボランティア的な従事を期待される世界で、はっきりと「この条件で」とは直接言いにくいものですから。
担当されている講義の中でも、医学生たちに、民間医局のような人材紹介会社を利用するメリットについて話されているそうですね。
私が医学生に強調しているのは、大学医局やその関連病院での経験だけで医療をわかったつもりになるなということです。医局によって、また地方によって医療のあり方が大きく異なるのが現実ですから。要するに、「井の中の蛙になるな」です。そこで、大学医局の枠を超え、医師自身のキャリアの方向性に基づき、多様なスキルアップの機会が見つかる民間医局のようなサービスの良さも折に触れて紹介しています。
将来の夢を教えてください。
私は、医師の資格を得た当初から病院の診察室で患者を待つだけでなく、生活域にまで医師が関わることで、人々が健康意識を高めていくのが医療の理想と考えて参りました。今後も地域の生活者が、日々の健康管理や医療に関する情報を必要十分に得られるような医療の提供を実現したいと考えています。