勤務医の年収はどのくらい?
診療科別・年代別の平均年収と年収アップの方法

公開日:2025/4/03

勤務医の年収はどのくらい?診療科別・年代別の平均年収と年収アップの方法

「こんなに働いているのに、給与が安すぎる」「他の病院なら、もっと高い年収が得られるのでは?」
勤務医の年収は、多くの医師にとって気になるテーマではないでしょうか。

中央社会保険医療協議会の「第24回医療経済実態調査の報告(令和5年実施)」によると、一般病院の勤務医の平均年収は1,460.9万円です。しかし実際の年収は、診療科や年齢、勤務先によって大きく異なります。

この記事では複数のデータにもとづき、勤務医の年収を詳しく解説します。診療科別、年齢別、勤務地別の平均年収に加え、年収アップの方法も紹介しますので最後までご覧ください。

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【診療科別】勤務医の平均年収

2025年3月18日時点で民間医局に掲載されていた常勤求人17,078件の募集科目から、診療科別の平均年収を算出しました。給与の下限と上限それぞれの平均値を計算し、給与下限の平均が高い診療科順に並べています。

なお、各求人の勤務日数は週3日から6日まで幅があることに加え、各種手当や賞与の有無も求人によって異なります。同一条件で算出した平均年収額ではないことをご了承ください。

診療科別の医師の平均年収
順位 診療科 給与下限 給与上限
1位 美容外科 1,800.0万円 2,603.8万円
2位 美容皮膚科 1,553.7万円 2,086.2万円
3位 訪問診療 1,483.7万円 1,991.9万円
4位 産婦人科 1,422.6万円 2,027.0万円
5位 整形外科 1,399.3万円 1,898.4万円
6位 透析科 1,395.9万円 1,890.4万円
7位 眼科 1,366.5万円 1,943.1万円
8位 精神科 1,363.3万円 1,827.0万円
9位 泌尿器科 1,350.2万円 1,915.8万円
10位 耳鼻咽喉科 1,339.7万円 1,867.6万円
11位 外科 1,317.2万円 1,833.2万円
12位 内科 1,316.8万円 1,752.0万円
13位 消化器外科 1,314.2万円 1,853.2万円
14位 皮膚科 1,311.9万円 1,771.9万円
15位 循環器内科 1,308.7万円 1,828.7万円
16位 腎臓科 1,308.2万円 1,841.6万円
17位 形成外科 1,307.8万円 1,909.8万円
18位 脳神経外科 1,306.0万円 1,858.9万円
19位 不問 1,291.1万円 1,606.0万円
20位 消化器内科 1,290.8万円 1,768.0万円
21位 婦人科 1,288.3万円 1,838.3万円
22位 呼吸器内科 1,275.7万円 1,790.8万円
23位 総合診療科 1,268.9万円 1,764.7万円
24位 脳神経内科 1,267.8万円 1,772.3万円
25位 リウマチ科 1,266.8万円 1,838.0万円
26位 糖尿病科 1,251.9万円 1,731.6万円
27位 リハビリテーション科 1,251.2万円 1,751.8万円
28位 心臓血管外科 1,232.8万円 1,854.7万円
29位 呼吸器外科 1,226.5万円 1,820.0万円
30位 小児科 1,219.5万円 1,776.7万円
31位 麻酔科 1,204.6万円 1,796.3万円
32位 救命救急科 1,197.4万円 1,797.2万円
33位 緩和ケア科 1,178.1万円 1,684.7万円
34位 内分泌科 1,168.0万円 1,756.7万円
35位 血液内科 1,167.5万円 1,673.8万円
36位 腫瘍内科 1,166.2万円 1,711.5万円
37位 乳腺/内分泌外科 1,165.3万円 1,780.6万円
38位 放射線科 1,143.6万円 1,677.3万円
39位 病理学 1,057.5万円 1,586.4万円
40位 健康診断 1,038.7万円 1,429.4万円
41位 産業医 1,025.0万円 1,367.5万円
  • 2025年3月18日時点で民間医局に掲載の常勤医師求人情報をもとに、民間医局Web担当が作成。
  • 科目別の給与の下限値・上限値合計をデータ数で割り、小数点以下は切り捨て。データ件数が30件未満の科目は除外。

平均年収が最も高いのは美容外科で、給与下限は1,800.0万円、給与上限は2,603.8万円です。次いで美容皮膚科(給与下限1,553.7万円、給与上限2,086.2万円)となっています。
給与下限の3位は訪問診療(1,483.7万円)、給与上限の3位は産婦人科(2,027.0万円)でした。

美容外科は自由診療のため、医療機関が料金や施術内容を自由に決められることから、勤務医の年収も高くなる傾向にあります。美容皮膚科も同様の理由で高額給与が提示されやすいです。

訪問診療は個人宅や施設への移動、24時間対応といった負担を伴うため、相応の診療報酬が設定されています。

【開設者別】勤務医の平均年収

医師の平均年収は、勤務先の経営母体によっても異なります。中央社会保険医療協議会「第24回医療経済実態調査の報告(令和5年実施)」で一般病院の開設者別に医師・病院長の平均年収を見たところ、医療法人の平均年収が最も高く、医師は1,498.4万円、病院長は3,021.2万円でした。特に病院長の年収は、他の開設者と比較して突出しています。

開設者別に見た一般病院の医師平均年収
開設者 医師 病院長
国立病院(国、国立病院機構、国立大学法人など) 1,410.1万円 1,908.3万円
公立病院(都道府県立、市町村立などの病院) 1,455.7万円 2,088.4万円
公的病院(日本赤十字、済生会、厚生連など) 1,451.7万円 2,242.4万円
社会保険関係法人(健康保険組合・連合会、共済組合・連合会など) 1,282.4万円 2,059.7万円
医療法人(医療法人である民間病院など) 1,498.4万円 3,021.2万円
その他(公益法人、学校法人、医療生協、その他の法人など) 1,463.0万円 2,368.4万円

大学病院の勤務医の年収相場は低い傾向にあります。大学病院は先進医療や地域医療を担っており、利益にとらわれない医療提供体制が求められます。また、研究や教育の場でもあることから多くの医師を雇用しており、特に年次の若い医師になればなるほど年収が抑えられてしまうのは避けられません。

勤務医として高収入を目指すのであれば、民間病院への転職が選択肢の一つとなります。

以下は、診療所の勤務医・病院長の平均年収です。

開設者別に見た診療所(入院診療収益ありを含む)の医師平均年収
開設者 医師 病院長
個人 984.4万円 0
医療法人 1,118.0万円 2,652.9万円
その他 1,338.4万円 2,329.1万円

【年代別】勤務医の平均年収

続いて、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」をもとに年代別、男女別の勤務医の平均年収の推移をまとめました。勤務医の年収が年齢によってどのように変化するのか、見ていきます。

年齢階級別×男女別の医師の平均年収
年齢階級 男性医師 女性医師
20~24歳 626.0万円 575.7万円
25~29歳 776.3万円 724.6万円
30~34歳 1,089.6万円 852.0万円
35~39歳 1,270.4万円 1,206.2万円
40~44歳 1,587.5万円 1,366.5万円
45~49歳 1,699.2万円 1,538.8万円
50~54歳 1,934.9万円 1,585.9万円
55~59歳 1,873.0万円 1,446.1万円
60~64歳 1,846.8万円 1,521.0万円
65~69歳 1,972.7万円 1,692.6万円
70歳~ 1,678.1万円 694.6万円

参照:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」をもとに算出

(職種)第5表 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
企業規模計(10人以上)、職種:医師、男女計

(職種)第7表 職種(特掲)、性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
企業規模計(10人以上)、職種:医師、男性、女性

  • 「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」=平均年収として算出
  • 「きまって支給する現金給与額」とは、就業規則などによって定められている条件で支給された現金給与額。手取りではなく、所得税、社会保険料などの控除前の額です。現金給与額には、基本給、職務手当、通勤手当、超過労働給与額も含まれます。

20代の平均年収は低いですが、30代以降は上昇傾向にあります。男女ともに平均年収は65~69歳でピークに達し、男性医師は1,972.7万円、女性医師は1,692.6万円という結果となりました。

下図は、令和元年から令和5年までの医師の男女別平均年収の推移をグラフにしたものです。

医師の平均年収推移(男女別)

男性医師の平均年収は1,500万円前後で推移しています。女性医師の平均年収は男性医師に比べて低い水準で推移していますが、令和3年を除き上昇傾向にあります。

女性医師の年収が男性医師より低い要因として、出産や育児による休職、時短勤務などが考えられます。

【勤務地別】勤務医の平均年収

医師の平均年収は勤務地によっても差が生じます。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」で、平均年収の高い都道府県上位10位を調べました。

都道府県別の平均年収 上位10位
順位 都道府県名 平均年収
1位 沖縄県 1,853.8万円
2位 北海道 1,783.5万円
3位 群馬県 1,766.3万円
4位 福島県 1,706.0万円
5位 青森県 1,681.6万円
6位 鳥取県 1,673.8万円
7位 山形県 1,644.1万円
8位 富山県 1,598.6万円
9位 愛知県 1,596.9万円
10位 高知県 1,596.3万円

最も平均年収が高いのは沖縄県(1,853.8万円)、次いで北海道(1,783.5万円)、群馬県(1,766.3万円)と続きます。

医師不足が深刻なへき地や離島では、医師を確保するために高額な年収を提示する傾向があります。一方、都市部では大規模病院が多く医師が集まりやすいため、給与水準は地方に比べて低めに設定されることが多いです。

勤務医が年収をアップさせる方法は?

複数のデータで勤務医の平均年収を見てきましたが、年収額はさまざまな要因で変動します。勤務医が年収アップを目指すなら、以下の3つの方法がおすすめです。

  1. 今より年収の高い勤務先へ転職する
  2. 今の勤務先で役職を目指す
  3. スポットや定期非常勤のアルバイトをする

1. 今より年収の高い勤務先へ転職する

常勤先での大幅な給与アップは難しい場合もありますが、転職によって収入を改善できる可能性があります。特に大学病院は年収相場が低い傾向にあるため、収入アップを重視する方は民間病院への転職も選択肢の一つです。

勤務地によっても年収相場は大きく異なります。都市部よりも医師不足が深刻な地方の医療機関では、給与水準が高い傾向にあります。医師の需要が高く供給が少ない地域で働くことは、高収入と同時に大きなやりがいにも繋がるでしょう。

また医療機関の中には、対応数に応じて報酬が得られるインセンティブ制を設けている施設もあります。

2. 今の勤務先で役職を目指す

医長や部長などの役職に就くことで、役職手当の支給が期待できます。ただし、手当の有無や金額は医療機関や診療科によって異なるため、事前に勤務先の制度を確認しておきましょう。

3. スポットや定期非常勤のアルバイトをする

勤務医の方の中には、すでに常勤先以外でアルバイトをしている方も多いのではないでしょうか。
特に都市部ではアルバイトの求人数が豊富で、時給1万~1万2千円程度が相場となっています。たとえば「金曜日の当直」「午前中だけの健診」といったように、空き時間を有効活用して収入を増やすことができます。

また、アルバイトは常勤先では経験できない症例に触れたり、新たな経験を積んだりする良い機会にもなります。1日から勤務可能なスポットのアルバイトもあるため、本業に支障のない範囲で試してみることをおすすめします。

給与だけでなく、働き方や将来設計も考慮した勤務先選びを

この記事では、勤務医の年収について詳しく解説しました。診療科別、勤務地別、年代別、開設者別の平均年収をご紹介しましたが、これらはあくまで参考値であり、実際の年収は勤務先や勤務日数、業務内容によって大きく変動します。
給与だけでなく、働き方や将来設計も考慮して勤務先を選ぶことをおすすめします。

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