原因も治療法も分からない 膠原病に興味を持ち研究者に
三宅氏が研究の道に進んだきっかけは、膠原病に興味を持ったからだった。知り合いが国の難病にも指定されている膠原病の一つ、全身性エリテマトーデス(SLE)に罹患していたため、何とかしたいという思いに後押しされた。当時、日本で初めて膠原病内科を診療科に掲げた順天堂大学で内科の研修を受け、始めは臨床医として膠原病・リウマチ科の診療を手掛けた。
膠原病・リウマチ科は非常に研究が盛んで、医局の先輩たちも臨床と研究を両立させている人が多く、原因も治療法も分からない疾患を、研究で明らかにしていこうという考えが強い領域だった。
「もともと研究に興味があったこともあり、自然と免疫学の研究に力が入りました」
その後、1995年に米国への留学を契機に研究に専念。Harvard Medical School,Brigham and Women's Hospitalでリウマチ・アレルギー・免疫部門のトップだったMichael Brenner教授の下でシグナル伝達の研究を行い、「Cbl」という分子がユビキチン化を促進することを明らかにした。
米国留学中は、Michael Brenner氏の真摯(しんし)にサイエンスに向き合う姿や物事の本質を見極める力に感銘を受けると同時に、日米での研究への取り組み方の違いも感じた。日本では指導教官の意思決定に従うことが多いが、米国ではたとえ学生であっても発言し、チームでディスカッションしながら決めていく。
そういった中で三宅氏は、新しいことを発見し道を切り開いていくには、技術的なことだけでなく活発な議論で研究を高めることが大切だと学んだという。教授になった今も、自分の考えに凝り固まらず、いろいろな意見を受け入れるようにしている。
現在、リウマチ疾患から発見された新しい免疫細胞についてや、免疫を調整する細胞である自然リンパ球についてなど、Michael Brenner氏との共同研究も進められている。