被告病院による術後管理上の過失及び蘇生術実施上の過失を認める
第1審では、原告側鑑定意見書(病理専門医作成)が窒息説をとり、被告側鑑定意見書(病理専門医作成)が致死性不整脈(回避不能)説をとったため、両証人の対質尋問が実施された結果、裁判所は「被告が主張している全身状態の観察なるものは、単に外見的な異常ないし急変が発生すれば対応策をとるという一般的注意に過ぎず、それ以上にAの呼吸管理に焦点を当てたものではなく、本件において払うべき注意としては不十分なものである」、さらに「医師らは、Aに対し、救急蘇生術の際、気管内チューブを確実に気管内に入れられずに食道壁を穿孔した上、それに気づかないまま縦隔に大量の空気を送り込んで、皮下気腫、気胸を起こさせ、その結果、Aを無気肺により窒息死させたものであるから、被告病院が安全確実に蘇生術を行うべき注意義務に違反していることは明らか(中略)」であると窒息説を採用し、「Aは被告による術後管理上の過失及び蘇生術実施上の過失という複合的原因によって死亡したものであるから、被告はAの死亡につき不法行為に基づく責任を免れないと認められる」とした。