医師の転職失敗事例を調査
後悔しない転職活動のポイントも紹介

更新日:2022/03/09 公開日:2020/04/10

医師に聞いた、転職の失敗エピソード

民間医局の医師会員へのアンケートで「これまでの転職で後悔・失敗したと思うこと」を自由回答で聞いたところ、多くのエピソードが寄せられました。

「地獄から逃れたと思ったら、もっと地獄が待っていた」(40代・転職5回以上)という声が象徴するように、転職=成功とは限らず、新たな悩みの始まりという場合もあるようです。
これから転職をお考えの先生は、ぜひ先輩たちの事例を参考にしてください。

調査概要

  • 期間:2020年2月19日(水)~3月1日(日)
  • 方法:民間医局の医師会員にメールを配信、受信者のみ回答できる匿名アンケート
  • 回答数:409

※匿名性を担保するため、回答の一部を変更しています。

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医師が転職で失敗したと思った理由は

医師が転職で失敗したと感じるのは、どのような理由が多いでしょうか?

アンケートで得られた回答を7つのカテゴリに分類しました。

  1. 勤務条件や勤務内容が違う
  2. 入職後にギャップを感じる
  3. 経営体制の問題
  4. 医局人事
  5. 事前の確認不足
  6. 人間関係
  7. スキルが身に付かない

医師が転職で失敗したと思った理由

最も多い理由カテゴリは「勤務条件や勤務内容が違う」で、全体の31%でした。続いて「入職後にギャップを感じる」が23%。この2つで半数を超えています。

「思っていたのと違う」と後悔する方が多いようです。

それでは、カテゴリごとに転職失敗エピソードの内容を見ていきます。

勤務条件や勤務内容が聞いていた話と違う

  • 「勤務時間や勤務内容、残業手当の有無など、入職時に聞いていた話が反故にされた」(40代・転職2回)
  • 「役職の付かない一般職員にも関わらず、転職してすぐに、雇用保険には入れないと言われた。面接時、にこにこして愛想のいい事務長は信用できない」(30代・転職4回)
  • 「院長として転職。着任したら前任者が名誉院長として居座っていた」(60代・転職5回以上)
  • 「小児科医なので成人は診療できないと話していたのに、入職後は成人の診療をさせられる」(40代・転職3回)
  • ボーナスの加算やインセンティブが契約書に記載されておらず、支給されなかった」(40代・転職1回)

入職後にギャップを感じる

  • 当直や待機のノルマが想像よりきつかった」(40代・転職3回)
  • 「実際に勤務してはじめて、おかしな職場だと感じた」(50代・転職5回以上)
  • 雑用や時間外のミーティングがあった」(50代・転職5回以上)
  • 「役職に魅力を感じて転職したが、あまりの責任の重さに潰されそうになった」(40代・転職3回)
  • 「何回か見学に行かないと医局の雰囲気はわからないし、何箇所か見学して比較しないとわからないこともあると思う」(20代・転職1回)

経営体制の問題

  • 「転職先のオーナーが詐欺を働いていた」(30代・転職2回)
  • 「請われて転職した先が、実はブラック医療機関だと判明」(50代・転職2回)
  • 「転職時にエージェントから知らされていなかったが、2年前に倒産した病院だった。経営者が同じままなので、経営状況は芳しくない」(50代・転職2回)
  • 「転職先の病院で、病床数の減少や方針の転換があった」(40代・転職1回)

医局人事に逆らえず

  • 「過去の転職はすべて医局人事。教授命令は断れない。遠方に異動になったり単身赴任になったりと、生活環境を考慮してくれない」(40代・転職5回以上)
  • 「直接見学に行かず、転職先の責任者と医局長のやり取りに任せていたら、こちらの希望と病院の要望に食い違いが生じていた。たとえ所属医局からの派遣でも、転職先の責任者と一度は面談して、直接要望を伝えるべきだったと反省」(30代・転職3回)

事前の確認不足

  • 給与体系が不透明なまま転職してしまった」(30代・転職3回)
  • 「勤務先が医師賠償責任保険に加入していなかった」(40代・転職3回)
  • 「情報収集が足りなかった。いきなり常勤ではなく非常勤で雰囲気を知ってからにするなど、じっくり検討すべきだった」(30代・転職2回)
  • 「転職前に金銭面や福利厚生を確認しておけばよかった。ただ、雇われる側としては聞きにくい。入職してから育休がとれないこと、時短だと給与が想定より下がることを知った」(30代・転職2回)
  • 「地方への転職。車を持っておらず、日常生活で不便」(30代・転職5回以上)

上司、同僚が…人間関係に悩む

  • 「上司の人格が最低で、職場の雰囲気は最悪」(30代・転職2回)
  • 「入職前に医師が1人辞めると聞いていたが、入職から2週間後、『あと2人辞めます』と言われて、愕然とした」(50代・転職3回)
  • 「入職後に変な上司が医局から来て、その人が嫌でみんな辞めてしまい、常勤医が一時不足した」(30代・転職4回)

転職先ではスキルが身に付かない

  • 「後期研修先の部長や指導医にやる気がなく、無責任な対応ばかり。ここにいてもスキルが身に付くとは思えず、1年強で辞めた。部長に辞めると伝えても、引き留めはおろか理由すら聞かれない塩対応で唖然とした」(40代・転職2回)
  • 「そこそこ手術があると聞いていたにも関わらず、あまりに暇で入職1ヶ月で辛くなった。給与や福利厚生は良かったが、自分の居場所ではないと感じた」(30代・転職3回)
  • 「専門医が取れると聞いていたのに、実は症例もままならない、学会発表をしている先生すらいない病院だった」(40代・転職3回)

医師の転職で後悔しないために、気を付けたいポイント3つ

いかがでしたか?ここまで、たくさんの医師の転職失敗事例をご紹介しました。

転職はキャリアの一大事。心身ともにエネルギーを消費します。転職後に後悔しないためには、何に気を付ければいいのでしょうか。
転職活動をする際に気を付けたい、3つのポイントをご紹介します。

  1. 勤務条件・内容が希望に見合っているか確認する
  2. 雇用契約書を必ず交わす
  3. 転職先について事前に情報収集する

①勤務条件・内容が希望に見合っているか確認する

勤務条件の中で特に悩むのは「給与」ではないでしょうか。提示された給与が勤務内容と見合っているかどうかは、転職先を決める際の重要なポイントです。どれだけ給与が高くても、激務で疲弊したり、仕事がつまらないと感じたりしては、元も子もありません。

転職する医師の中には、「年収は前職より下がるが、勤務日数や時間が減り、時給単位では給与が大幅にアップ」という転職先を選ぶ方も少なくないです。
ご自身のキャリアプランに合わせて、働き方と報酬のバランスを考えると良いでしょう。

②採用条件を必ず書面で確認する

医局人事による転職など一部では、口頭でしか条件を伝えられないケースもあるようです。
必ず書面で確認するようにしましょう。

人材紹介会社を利用した転職では、紹介会社に採用条件を書面で明示することが法律で定められています。
雇用契約書とは別ですが、事前に医療機関と合意した採用条件を確認することができるため、安心です。

③転職先について事前に情報収集する

常勤医の人数、主治医制かどうか、当直の忙しさといった診療面はもちろん、有給休暇の取りやすさや人間関係についても事前に把握しておきたいものです。

転職先に友人・知人がいれば事前に情報収集することもできますが、そうした伝手のある転職ばかりではありません。

そんなときにおすすめなのは、転職エージェントの利用です。転職エージェントは多数の医療機関と取り引きがあり、面接や病院見学だけではわからないことも相談できます。
さらに、同じ人材紹介会社経由で過去に転職した医師がいれば、内情を聞いてもらえる場合もあります。

全国に17拠点を持つ民間医局は、47都道府県の医療機関や企業を訪問し、日々最新の情報を入手しています。転職市場やご自身の市場価値を知りたいという方は、ぜひ民間医局にご相談ください。

「失敗を恐れず、迷ったら動く」…先輩医師からのアドバイス

アンケートで寄せられたエピソードの中には、複数回の転職を経験している医師から次のような意見もありました。

「転職には運がついて回る。失敗を恐れず、迷ったら動くほうが良い」

はじめての転職で何から手を付けたらいいかわからない場合は、民間医局にご相談ください。キャリアプランの見直しから求人紹介、面接同行や条件交渉まで専任のエージェントが先生の転職活動に伴走します。

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