医師の主な転職理由8つと、「もう無理」と思った瞬間は?
【アンケート結果】

更新日:2022/08/09 公開日:2020/04/03

医師に聞いた、転職したいと思った理由は?

医師のキャリアを歩むなかで、一度は転職を考えたことのある先生が多いと思います。
勤務内容、家庭の事情など医師が転職したいと思う理由はさまざまです。勤務先の規模や診療科など、環境によっても変わってきます。
「今の勤務先に不満がある」「転職すべきか悩んでいる」方は特に、ほかの医師がどのような理由で転職を考えるのか、気になりませんか?

そこで2020年2月に実施した民間医局の医師会員へのアンケートで、「転職したいと思った理由」を聞きました。回答者の属性は「回答時の直近1年以内に転職を考えたことがある」方で、13の理由の中から該当するものを複数選ぶ形式です。

アンケート結果から、医師の転職理由で主なものを8つに分類しました。ぜひご覧ください。

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医師が転職を考えた理由の第1位は「人間関係」

アンケート結果から見ていきましょう。

医師が「転職したい」と思った理由
医師が「転職したい」と思った理由(アンケート結果より)

「その他」24件の主な内訳

  • パワハラ
  • 臨床にもっと集中したい
  • 会議など雑務が多い
  • 違う環境を経験してみたかった
  • 通勤が不便
  • 配偶者が遠隔地へ転勤

「転職したいと思った理由」の第1位は「人間関係」(回答数76)でした。
第2位は「家庭環境、ライフスタイルの変化」(回答数69)です。
第3位以下は「給与が不満」(回答数55)、「激務、忙しすぎる」(回答数54)、「勤務先の将来性が不安」(回答数53)がほぼ同数で続きます。

過重労働が叫ばれて久しい医師ですから、「激務、忙しすぎる」が転職理由の上位にランクインするのは当然の結果です。
しかしそれだけではなく、「職場の人間関係の不満」や「家庭環境、ライフスタイルの変化」といった他者との関わりが、転職を考えるきっかけとして大きく影響していることが伺えます。

一方、「キャリアアップできない」「スキルアップしたい」「自分の能力が活かせない」のように、さらなる高みを目指して転職を考える方も少なくないようです。

挨拶無視、パワハラ、給与減、無給の当直…医師が「もう無理」と思った瞬間は

次に、自由回答で「『もう無理!転職したい』と思った瞬間」を聞いたところ、具体的なエピソードの数々が寄せられました。
前述のアンケート結果とあわせて、医師の主な転職理由を8つに分類し、カテゴリごとにエピソードをご紹介します。

  1. 人間関係
  2. 家庭環境、ライフスタイルの変化
  3. 給与が不満、収入減
  4. 激務、忙しすぎる
  5. 上司
  6. 理不尽、雑務の多さ
  7. 勤務先の将来性が不安
  8. 異動、人事、契約終了

①人間関係

  • 「入職当初から同僚医師に挨拶を無視された。その医師を含む数人が私の悪口を話しているの聞き、ストレスで体調不良に」(40代)
  • 「年上の先輩に些細なことでも口出しされ、自由に仕事ができず、転職を考えた」(40代)
  • ほかの医師の不始末の尻ぬぐいをさせられるとき」(40代)
  • 「『ホウレンソウ』ができていない同僚たちに失望。ここにいるべきではないと思った」(40代)
  • 同僚医師による、別の同僚に対するパワハラ・モラハラ。病院側の環境改善の対応も悪い」(40代)
  • 「人間関係の修復が無理と思った瞬間。上司に相談しても、具体的な回答が返ってこなかった」(20代)
  • 「何年もいる職場なのに、非協力的なスタッフにひそひそ陰口を言われている時、ここで頑張る必要はないと思いました」(40代)

②家庭環境、ライフスタイルの変化

  • 大学院生でバイト生活。気楽に稼げていいかと思ったが、産休で完全無給になる恐ろしさを実感した。家賃や生活費で貯金がどんどん減っていき、常勤になりたいと真剣に思った」(30代)
  • 「家族の看護が必要になったため」(50代)
  • 「育児との両立で日々奮闘しているが、育児を理由に勤務負担を減らせない状況がつらい」(30代)
  • 「もともとハード過ぎる環境ではあったが、家族の健康問題でこれ以上働くのは無理になった」(40代)
  • 両親がいずれ介護が必要になるかもしれないため、その前に自由の利く職場に移りたい」(50代)
  • 「不妊治療のため現職で非常勤に切り替えたかったが、不可能と言われた。他科では不妊治療による当直免除や時短の人もいたが、当科は融通が利かない」(20代)
  • 「通勤に時間がかかり、子どもの送り迎えがうまくいかなかった。周りがバリバリ働いているのに、自分だけがお迎えでひっそりと職場を離れなければならず、肩身が狭い思いをした」(30代)

③給与が不満、収入減

  • 給与の減額を提案された」(50代)
  • 「実際の労働時間と給与の差。医局で寝ている他科の医師が自分より高い給料をもらっていることに納得できなかった」(30代)
  • 「少子高齢化による人口減少で収入が減った」(60代)
  • 「教授の意向で基礎系の大学院で研究をしていたため、外勤でしか収入がない状態だった。にも関わらず、研究に専念させるために外勤を減らされそうになったこと」(20代)

④激務、忙しすぎる

  • 夜中の3時に呼び出しがあり、もう耐えられない」(60代)
  • 「院内でも帰宅後でも、一息ついた時に限って呼ばれる」(50代)
  • 過労死ラインを超えるサービス残業。さらに家庭の問題が加わり、精神的・肉体的にも疲弊しきったため」(30代)
  • 月に10日も無給で当直、さらに翌日もフルで勤務していた」(40代)
  • 365日の完全待機を押し付けられ、半年経過した時点で転職を希望しました」(40代)
  • 当直明けでオペ、そのまま夜まで仕事を繰り返したとき」(40代)
  • 「当直医が入院させた患者の主治医をほぼ毎日回されるため、常時15人以上の急性期患者を受け持たされている」(40代)
  • 毎月180時間を超える時間外無賃労働と、それを当然のこととする上司のパワハラで心身共にクタクタになり、2年弱で退職した。やりがいもあり続けたかったが、あのまま勤務していたら今ごろは死んでいたと思う」(50代)
  • 「日々の業務で忙殺されて、自分が今何をしているのかわからなくなった」(50代)

⑤上司

  • 「理不尽な上司に怒られ、患者に迷惑をかけた」(30代)
  • 「上司に仕事を無茶振りされて、それを断ると逆ギレをされたとき」(30代)
  • 「医局のトップが、簡単に仕事を休んで講演会などのバイトに行ってしまう」(40代)
  • 「上司の臨床能力が足りていないのか、状態が悪化した患者をすべて押しつけられる」(30代)

⑥理不尽、雑務の多さ

  • 「医局所属の大学講師が外勤で週1回しか来ないくせに、自分のかかりつけの患者の手術をし、その患者をこっちの常勤で見なければいけないのは理不尽」(40代)
  • 「『自分が診察した患者のフォローだけしてくれ』『処方は基本変えないで』と言われた。これでは処方箋コピー機」(40代)
  • 「することがなく、病院にいる時間が長いと何のために生きているのかわからない」(50代)
  • 半年以上手術をやっていないなぁと思った瞬間。学生の試験問題を作ったり、会議に出たり、臨床業務ではないことをしているとき」(40代)

⑦勤務先の将来性が不安

  • 経営陣、院長のトップダウン。管理能力がない」(50代)
  • 「経営側と意見が合わない。部下が業務上のことでパワハラに近い叱責を受け、彼らを守ろうとしたが受け入れられず。責任は自分にあると思い辞表を出している最中です」(70代)
  • 勤務先が買収され、突然、業務内容が変更になった」(50代)
  • 「勤務先の将来を考えて、上司の許可を得ながら長年かけて作成した報告書が、急展開で上申不可となった」(50代)
  • 「理念が崇高でない。金儲けに走っているように思えた」(70代)

⑧異動、人事、契約終了

  • 左遷に近い職場へ異動を命じられた」(40代)
  • 「閉院すると言われたので、仕方ない」(40代)
  • 「高齢を理由に、契約解除された」(70代)
  • 「大学病院に戻れだの、遠い病院に行けだの言われる。大学医局の行事が面倒」(30代)

過酷な勤務負担が、現職への不満のもとになりやすい

ご紹介したエピソードを見ると、長年にわたり不満が蓄積し、とある瞬間に限界に達して転職を考えるケースが多いようです。

特に「過労死ラインを超えるサービス残業」「月10日も無給で当直」「毎月180時間を越える時間外無賃労働」など、過酷な勤務負担を訴える声が多く寄せられました。

また「家庭環境やライフスタイルの変化」の回答でも、そもそも勤務負担が大きいためプライベートとの両立がしづらい状況にあり、育児・介護・看病といった局面でその問題が浮き彫りになっていることがわかります。

卒後年数別にみた医師のよくある転職理由や傾向は、こちらの記事をご覧ください。

失敗しない!はじめての医師転職ガイド

医師の働き方には幅広い選択肢がある

医師の働き方には幅広い選択肢があります。
「当直なし」「オンコールなし」といったワークライフバランスの取りやすい働き方もあれば、フリーランス医として自由な働き方を選ぶ医師も増えています。

しかし、勤務負担軽減や待遇改善を期待して転職したものの、蓋を開けてみたら「思っていた勤務先と違っていた」「失敗した」と後悔される方も少なくありません。

短期的な考えだけで転職先を選ぶのではなく、長期的なキャリアも見据えて、どの道に進むべきか見極めるのが大切です。

医師に聞いた転職の失敗エピソードは、こちらの記事をご覧ください。

【医師の転職失敗事例を調査】後悔しない転職活動のポイントも紹介

「まだ転職する気持ちが明確ではない」「どういうキャリアを進むべきかわからない」など、転職や将来について不安をお持ちの方も多いかと思います。
そんな方は、将来のキャリアにどのような選択肢があるのかを知るだけでも、気持ちが変わってくるのではないでしょうか。

お一人で調べるには時間がかかりますし、情報源も限られます。多忙な勤務の合間に効率よく情報収集するには、転職エージェントを利用してみるのもおすすめです。
さまざまな年代、環境の先生の転職事例を知るエージェントだからこそ、話すうちに思いがけない選択肢が出てくるかもしれません。

全国に拠点を持つ民間医局では、専任エージェントが先生に必ずお会いしてご希望や将来のビジョンを伺います。

電話やメールだけの人材紹介会社もあるようですが、民間医局では対面やZoomを用いて、Face to Faceで先生のお気持ちに寄り添うことをモットーにしております。

転職するかどうか迷っている段階でも結構です。ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

調査概要

  • 期間:2020年2月19日(水)~3月1日(日)
  • 方法:民間医局の医師会員にメールを配信、受信者のみ回答できる匿名アンケート
  • 回答数:409

※匿名性を担保するため、回答の一部を変更しています。

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