更新日:2024/12/09 公開日:2024/12/06 医師が臨床研修(初期研修)を修了後、専攻医(後期研修医)としての3年目以降はアルバイトができます。臨床研修を終えた医師は、どの程度アルバイトをしているのでしょうか。 民間医局では2024年10月、医師免許取得年2020~2022年で登録している医師(卒後3〜5年目)を対象にアンケートを実施。その結果、181名から回答が得られました。若手医師のアルバイトの現状を知り、自身の医師としてのキャリアを考えるヒントにしてください。 目次 卒後3年目医師のアルバイト経験者は76.7% アルバイトで1ヶ月に得ている収入の平均額、「30万円以上」が34.0% 医局の紹介、先輩・同僚の紹介、紹介会社でアルバイトを見つける 卒後3年目の4月からアルバイトを始める医師が多い 収入アップ以外でもアルバイトのメリットあり はじめてのアルバイトで不安に思ったことは「施設ごとのルール」「緊急時の対応」「自分で対応できるか」 はじめてアルバイトをする若手医師へのアドバイス 理想のキャリアを実現するためにアルバイトを活用しよう キャリアに関するお悩みやご相談はこちらから 民間医局に無料相談する 卒後3年目医師のアルバイト経験者は76.7% アンケート結果によると、卒後3年目医師の約8割がアルバイトを経験していることが明らかになりました。 卒後5年目医師まで含めると84.5%がアルバイトをしている 臨床のアルバイト経験について聞いたところ、卒後3年目医師の76.7%がアルバイト経験があると回答しました。内訳は「定期非常勤をしたことがある」方が27.4%、「定期非常勤・スポット両方ある」と回答した方が17.8%、「スポットをしたことがある」と回答した方が31.5%となっています。 卒後4年目医師ではアルバイト経験者が85.0%と増え、卒後5年目医師になると95.9%まで増えました。 回答者全体で見ると、84.5%がアルバイト経験があることがわかりました。 アルバイトをしようと思った最大の理由は「収入アップのため」 「アルバイトをしようと思った理由」の1位は「収入アップのため」で、63.4%の方が回答しました。続いて「大学医局の派遣」と回答した方が26.8%、「先輩医師や知人にすすめられた」方が5.2%となっています。「スキルアップのため」と回答した方は最も少なく、3.9%という結果でした。 本アンケートの結果から、年次の浅い医師は収入アップを目的としてアルバイトを始める傾向にあることがわかりました。 医療機関の中には、専攻医の給与体系を正規の常勤医師よりも低く設定している施設があります。アルバイトの給与は医師の経験年数に関わらず同一の金額が提示されるため、時給換算すると、常勤先の勤務よりも高額になるケースが少なくないです。 勤務先の規則で、アルバイトができないこともある 「アルバイトをしなかった理由」としては、「主たる勤務先の規則でできなかった」が1位で20票でした。 勤務先によっては、受け持ち患者さんの急変対応ができなくなる可能性を懸念し、就業規則で医師の副業やアルバイトを禁止している施設があります。アルバイトをする場合は、事前に勤務先の就業規則・ルールを確認しましょう。 続いて多かった理由が「勤務や研修が忙しくて、時間がなかった」で、12票でした。「探したけれど、良い求人がなかった」「臨床以外の副業をしている」も1票ずつありました。 専攻医・専修医可の定期非常勤求人を見る 専攻医・専修医可のスポット求人を見る アルバイトで1ヶ月に得ている収入の平均額、「30万円以上」が34.0% 「アルバイトで1ヶ月得られる収入の平均額」を尋ねた質問に対しては、「30万円以上」と回答した方が34.0%いました。続いて「10万円未満」が26.8%、「10〜19万円」が22.2%、「20〜29万円」が15.7%となっています。 卒後3~5年目医師の年収は「800~999万円」が30.9% 3年目 4年目 5年目 計 ~499万円 3 3 1 7(3.9%) 500~700万円 24 9 8 41(22.7%) 800~999万円 26 16 14 56(30.9%) 1,000~1,199万円 9 12 10 31(17.1%) 1,200万円以上 11 20 15 46(25.4%) 卒後3~5年目医師の年収はどのくらいなのでしょうか。常勤・アルバイトを含めた額を尋ねたところ、「800~999万円」が30.9%でトップでした。年収800万円の医師が月に30万円以上をアルバイトで稼いでいる場合、年間で360万円(年収の45.0%)の副収入を得ていることになります。 関連記事 専攻医の年収は?年収を増やす方法やアルバイトをする際の注意点も紹介 医局の紹介、先輩・同僚の紹介、紹介会社でアルバイトを見つける 「アルバイトを見つけた方法」で最も多かったのは「医局の紹介」で、70票でした。続いて「先輩・同僚・知人の紹介」と「民間医局以外の人材紹介会社」が同票で49票、「民間医局」が48票という結果が得られました。 多くの大学医局では医局員に対し外勤を紹介しますが、中には人材紹介会社経由よりも好条件の勤務先もあるようです。その一方で、自身の要望・希望に合った勤務先ばかりでない、といったデメリットもあるでしょう。 アルバイト探しで人材紹介会社を利用して良かった点は? アルバイトを「民間医局または民間医局以外の人材紹介会社で見つけた」と回答した方に対し、利用して良かった点を自由回答で聞いたところ、「安心度が高い(卒後4年目・男性・精神科)」「自分の希望の時間帯・曜日でアルバイトが見つかった(卒後5年目・女性・循環器内科)」「効率的に検索しやすい(卒後5年目・男性・放射線科)」といったメリットを挙げる方がいました。 また、「直接病院に言いにくいことも紹介会社の方が伝えてくれるのでやり取りがスムーズ(卒後5年目・女性・呼吸器内科)」「直接担当者とのやり取りに煩わしさを感じずに仕事が決定するのが良い(卒後4年目・男性・精神科)」といった肯定的な意見もありました。 専攻医・専修医可の定期非常勤求人を見る 専攻医・専修医可のスポット求人を見る 卒後3年目の4月からアルバイトを始める医師が多い 卒後3〜5年目の医師は、いつからアルバイトを始めるのでしょうか。また、どのような勤務内容を選ぶ医師が多いのか気になる方もいるでしょう。以下の回答を確認し、今後のアルバイト選びの参考にしてください。 実際にアルバイトを始めた時期 「アルバイトを始めた時期」は「卒後3年目の4月」と回答した方が68票(44.4%)、続いて「卒後3年目の5月」が19票(12.4%)、「卒後3年目の6月」が18票(11.8%)となっています。 医師のアルバイト解禁のタイミングですぐに始める方が多い一方、常勤先に慣れてきた5月以降に始める方もいるようです。 経験したことのある勤務内容は「ゆったり当直」「外来」が多い 「経験したことのある勤務内容」を尋ねたところ、「ゆったり当直」が最も多く、100票。続いて、「外来」が84票、「救急ありの当直」と「健診」がそれぞれ57票でした。「往診(待機を含む)」は27票、「その他」は9票あり、「その他」の内容としては「美容外科・美容」「病棟管理」「手術麻酔」「手術」「ワクチン接種時の問診」「臨床検査」が挙げられています。 ゆったり当直は、救急指定のない病院や一次救急指定病院での宿直(当直)を指します。日によっては待機だけで終わることもあるため、経験の少ない医師のアルバイトとして人気があります。勤務の負担が少ない分、給与相場は抑えられる傾向にありますが、待機時間を使って勉強や論文作成に勤しむ方もいるようです。 外来は求人数が多いことに加え、「Common Diseaseの経験が積める」と人気があります。救急ありの当直は、ゆったり当直に比べると対応数や患者の重症度は上がりますが、給与相場も比例するため、より多くの収入を得たい方に人気のアルバイトです。 関連記事 これで安心!はじめての当直アルバイトのススメ 収入アップ以外でもアルバイトのメリットあり 「アルバイトをして良かったこと」を尋ねた質問に対しては、「収入が増えた」が最も多く、143票。続いて、「いつもと異なる環境で気分転換になる」が68票、「ふだんできない診療や経験ができる」が56票でした。「収入を得ながら、論文の作成や勉強ができる」が26票、「知り合いが増える」が14票あったこともわかっています。 収入面以外のメリットとして、アルバイトは日常業務とは違った新鮮な感覚があるため、気分転換になるようです。また、常勤先だけでは味わえない、幅広い臨床経験を積むのに適しているとも考えられます。得た知見を本業や論文作成に活かしたり、人脈を広げたりすることは、医師のキャリアにとってもプラスになるのではないでしょうか。 はじめてのアルバイトで不安に思ったことは「施設ごとのルール」「緊急時の対応」「自分で対応できるか」 「はじめてのアルバイトで不安に思ったこと」を自由回答で尋ねたところ、「ルールが施設ごとで異なる(卒後4年目・男性・腎臓内科)」や、「やったことのない救急対応や処置(卒後5年目・男性・放射線科)」に対して不安を感じるといった回答がありました。 また、「自分で対応できるかどうか(卒後5年目・女性・精神科)」「自分の実力以上の問題が起きたらどうするか(卒後3年目・男性・放射線科)」といった不安を感じる方も多数いることがわかっています。院内独自のルールや設備によって、勝手がわからず困惑する医師も多いようです。 「はじめてのアルバイトで不安に思ったこと」自由回答の抜粋 「寝当直と聞いていましたが実際は夜間に病棟で頻繁に呼ばれ、初期研修中に経験したことのない症状の対応をしなければいけなかった時は不安でした。対応中は集中していますがその後、あの対応でよかったか不安に思うこともあります」(卒後3年目・女性・精神科) 「まず辿り着けるかが不安。ややこしい場所だった。また前もって約束となると急な本職が入らないか不安」(卒後4年目・男性・精神科) 「救急は、かなり重篤な患者が来た時にどのように対応するか、また病院毎でやり方も違うため戸惑いました」(卒後3年目・女性・糖尿病科) 「診察で何をしていいか全くわからなかった」(卒後3年目・男性・呼吸器内科) 「先輩医師のアドバイス」が、慣れないアルバイトの不安解消に役立つ はじめてのアルバイトで不安に思ったと感じた方に対し、「その不安を解消するためにどのような情報が役に立つか」尋ねたところ、「先輩医師のアドバイス」が65票。続いて「人材紹介会社からの事前情報」が53票、「医学書」が26票、「動画」が14票、「コラム記事」が12票でした。 とくに、同じ医局や診療科に属する先輩医師のアドバイスは参考になることが多いでしょう。 また、アルバイト求人を紹介する人材紹介会社は、募集元の勤務環境や独自のルールなどを知っていることがあります。勤務に際し不安なことがあれば事前に確認してもらうこともできるため、上手に活用しましょう。 はじめてアルバイトをする若手医師へのアドバイス 「これからはじめてアルバイトする若手医師へのアドバイス」を尋ねた質問に対しては、以下のような回答がありました。 人間関係 「良好な人間関係を保つことが重要」(卒後3年目・女性・精神科) 「現場にいるスタッフさんへ礼儀を忘れずに」(卒後4年目・男性・脳神経外科) 「自分の中で対処できるラインと誰かに相談するラインを作ることが大切」(卒後3年目・女性・糖尿病科) 「外来はまず、Common Diseaseの一般的な処方など覚えておくと良いです」(卒後5年目・女性・皮膚科) 「非常勤でこそ、丁寧な患者対応が求められます。スキルアップにもなりますので、ぜひチャレンジしてください!」(卒後3年目・男性・救命救急科) 「若手だからこそバイト先の先生方も隙間時間に対応を教えてくださったり、ベテラン看護師さんが病院の特徴やいつもはどうしているか等教えてくれます。バイト先でも結局は良好な人間関係を保つことが重要かと思います」(卒後3年目・女性・精神科) 多くの経験を得られる 「働き方改革との両立は難しいと思いますが、若いうちにたくさん経験をするとよいと思います」(卒後5年目・男性・基礎科) 「アルバイトはやって損はないと思います。人脈も増えて人生も豊かになりました」(卒後4年目・男性・形成外科) 「これからする場合でも、不安をなくすために勉強をするタイミングで今より早い時期はありません。頑張りましょう」(卒後3年目・男性・放射線科) 「辛いと思う外勤先でも淡々と業務を続け、経験値や図太さを培う良い機会と割り切って。その中で素晴らしい上級医や仲間を得る良い事もあります」(卒後4年目・女性・救命救急科) 無理をしない 「アルバイトは無理をしないのが一番と思います。外勤が多すぎてきつければ、遠慮なく人事担当の先生に相談しましょう」(卒後4年目・男性・精神科) 「ストレスを感じることも多いと思いますが今後の糧になるので無理せず頑張ってください」(卒後3年目・男性・神経内科) 理想のキャリアを実現するためにアルバイトを活用しよう 医師のアルバイトは、収入アップの機会だけでなく、医師としてのキャリアを積むうえで重要なスキルや経験が得られます。医局や先輩・知人から紹介されたり、自分で人材紹介会社で求人を探したりできますので、自身に合った方法でアルバイト先を見つけましょう。 アルバイトをするときには、さまざまな不安を感じるケースがあるかもしれません。大切なのは、周囲のスタッフの協力を得て、施設ごとのルールや設備を正確に把握したうえで業務に臨むことです。先輩医師にアドバイスを求めたり人材紹介会社に事前に質問したりすることによって、解消できる不安もあるでしょう。 民間医局では、専攻医の先生に最適な求人を多数ご紹介します。はじめてアルバイトをお考えの先生は、民間医局のエージェントまでご希望をお聞かせください。 まずは単発アルバイトから! 健診、ゆったり当直など 曜日が決まっている定期非常勤 隔週、月1回勤務OKな求人も 専攻医向け、はじめてのアルバイト 専攻医のお仕事探し情報を集約 非常勤アルバイト紹介 非常勤を始めるまでの流れを解説 調査概要と回答者属性 調査概要 調査対象:民間医局会員のうち、医師免許取得年2020~2022年で登録している医師 調査期間:2024年10月7日~10月14日 調査内容:医師の外勤アルバイトに関するWebアンケート調査 有効回答数:181(男性128、女性53) ※匿名性を担保するため、自由回答抜粋は表現を一部変更しています。 あわせて読みたい 医師転職における、病院見学のチェックポイント【アンケート結果】 辞めたくても辞められない?転職を断念した医師たちの事情【アンケート結果】 【医師の転職失敗事例を調査】後悔しない転職活動のポイントも紹介 円満に医局を辞める方法と、トラブル回避のための注意点 医師の平均年収は?年齢・診療科・地域別ランキングと年収アップの秘訣 失敗しない!はじめての医師転職ガイド【保存版】 転職エージェントサービスとは 都道府県別の転職市場動向・求人 医師転職のおすすめ求人特集 非常勤アルバイト紹介 医師転職の求人を探す 当直なしの常勤求人 ゆったり勤務の常勤求人 クリニックの常勤求人 症例数充実の常勤求人 お役立ち情報TOPへ戻る