調べた記憶を定着させるアウトプットが一番の勉強法
木口氏は、なぜ画像診断クイズに挑戦するようになったのだろうか。
「診断スキルを上げるためのトレーニングの一つとして始めました。でも、初めにトライした国内の放射線学会のクイズでは全然正解できなくて。自分には向いていないのかなと」
放射線科医を対象に出題される画像診断クイズは、超難問ばかりで全く歯が立たなかったという。最初の3年間は、5〜6問中1問が分かるかどうかだったと振り返る。しかし、臨床で経験を積み、勉強をし続けたことで、1問、2問と次第に解ける問題が増えていった。
診断スキルを上げるために、木口氏が長年続けている勉強法が3つある。1つ目は学会や研究会への参加。2つ目は画像診断に特化した医学雑誌や医学書を読むこと。そして3つ目は臨床である。日常の読影やカンファレンスから、日々、気付きや学びを得ている。
それに加えて取り組んでいるのが、画像診断クイズである。週に1、2回は問題を解いて投稿している他、目を通すだけのものを含めればさらに数は多くなる。
「3つの勉強法は多くの先生方が実践されていると思いますが、私ほどクイズを解いている人は他にいないかもしれません(笑)」
画像診断クイズは、画像診断の勉強法としてはとても有効だと木口氏は語る。回答を考える過程で、考え、調べたことが、その後の記憶に残りやすいからだ。それが臨床での診断にも生かされている。クイズを解くために調べた症例に臨床の場で出合うこともよくあるという。
最近では、TwitterやnoteなどSNSでの発信にも積極的だ。Twitterでは1日1ツイートをノルマとして、毎日1症例、画像を取り上げて解説する。
「Twitterは読むだけで気軽に知識が手に入るように見えますが、実は一番勉強になるのは自分が投稿することなんです。だから、もともとある知識の中からではなく、あえてうろ覚えの症例を調べてツイートするようにしています」
アウトプットは、自身の勉強になる上に、読んだ人たちの役にも立つ。Twitterで「ごま油うがいによるリポイド肺炎」を解説したときには、医師に限らず、一般の人たちからも多くの反響が寄せられた。