大阪府の医師転職市場を徹底解説

更新日:2022/08/29 公開日:2021/11/04

グルメ、歴史、文化芸術、エンタメなど多彩な魅力を放つ大阪府。
2021年、「世界で住みやすい都市ランキング」(※)第2位に輝き、国内外からも注目される都市です。
※英誌エコノミスト誌の調査部門であるエノコミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が発表したランキング

2021年1月時点の「人口動態調査」によると、大阪府の中心地である大阪市は人口増加数が全国第2位で、大幅増となりました。大規模マンションの建設が相次ぎ、ファミリー層や単身者の転入が増えています。
大阪府全体の医師数も年々増加しており、女性医師の比率も全国平均より高いです。

「大阪で仕事もプライベートも充実させたい」
「大阪独自のキャリア形成支援を受けたい」

そんな思いを抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、大阪府での転職を考える医師のために、民間医局のエージェントが最新の転職市場を解説します。

目次

大阪府の医師転職市場の動向

2020年、新型コロナウイルス感染症の流行初期は、業務圧迫で疲弊された内科系の先生から、転職のご相談が多数寄せられました。一方、収入減から医師採用計画を見直す医療機関もあり、需要と供給のバランスが崩れた時期でもありました。
2021年11月現在では医療機関側の体制も整い、医師採用の動きは活発化しています。

大阪府の人口は881万人(2021年9月時点)です。鉄道網が発達しているため、大阪府内はもとより、隣接する兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県からの通勤者も多いです。実際に、京都市内から大阪北部に通勤する先生や、兵庫県西宮市や神戸市から大阪市内に通勤する先生もいます。

大阪府の医師数のうち、医療施設の従事者は24,414人(2018年)で、東京に次いで全国2位の人数を誇ります。人口10万人対医師数は289.9人と全国平均の258.8人よりも高い水準となっています。しかし、府内全域に医師が充足しているわけではなく、府内8つの二次医療圏のうち、2つの医療圏が医師少数地域です。

大阪府には医学部が5つあるほか、高度医療を提供する医療施設が数多くあります。症例数も豊富であり、上級医のサポート体制が整っているのが魅力です。

大阪府における医師の平均年収や医療状況を理解し、最新の転職トレンドを押さえておきましょう。

大阪府の医師の平均年収

厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、大阪府の医師平均年収は1457.6万円(平均年齢44.2歳、勤続年数7.4年)となっており、全国の医師平均年収1440.3万円を上回っています。

大阪府の医師平均年収を男女別にみると、男性1,528.6万円(平均年齢46.4歳、勤続年数7.7年)、女性1,296.2万円(39.1歳、6.9年)となり、どちらも全国平均(男性1,522.5万円、女性1,188.3万円)より高い水準です。

この統計による平均年収は、「きまって支給する現金給与額(時間外、職務手当など各種手当を含む)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出した金額です。講演料や執筆料などの収入は含まれておりません。
調査対象のサンプル数や年齢、勤務内容等は都道府県によっても異なります。参考までにご覧ください。

一般的に勤務医では、「1,800万円」が高額年収と呼ばれるボーダーラインです。民間医局で大阪府の常勤求人を検索してみると、「1,800万円以上」は234件、「2,000万円以上」は102件ありました(2021年10月27日時点)。
年次、勤務内容、勤務先の規模によっても給与は大きく変動します。高額に魅力を感じる方が多い一方で、給与水準は多少下がるものの、「週4日・当直なし」といったワークライフバランスの取りやすい求人も人気です。

医師の皆さまの転職活動をサポートする民間医局では、待遇・勤務内容ともにご満足いただくことを目指し、エージェントが先生のご希望に沿って医療機関と交渉します。
転職をお考えでしたら、お気軽にご相談ください。

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大阪府で求められる人材とは

大阪府では、一般内科や消化器内科、呼吸器内科など、内科系の科目の求人数が圧倒的に多いです。全国的に同じ傾向だと思いますが、医師不足が顕著なのは救急・小児科・産科です。

最近では、クリニックの求人も多く、自由診療(美容、AGAなど)と訪問診療の求人が増えてきています。医師による開業よりも、「企業が承継などで新たにクリニックを運営し、勤務医を探す」といったケースが増えているのが、最近の傾向です。

クリニック勤務を希望される医師も多く、当社でも多数のご紹介実績があります。
クリニック求人の多くは病棟の受け持ちや当直がないため、ワークライフバランスが取りやすいのが魅力です。特に訪問診療クリニックは給与水準が病院勤務より高めで、最近はオンコールなしの求人もあり、人気が増しています。

医師を採用する医療機関側は、「コミュニケーション力や協調性があるか」を重視する傾向が強いように感じられます。接遇に力を入れている医療機関が多く、患者さん・ご家族への対応はもちろんのこと、スタッフとしっかり連携の取れる医師が求められています。

新型コロナもそうですが、医療状況は移り変わりがあるものです。入職後も状況に応じて勤務内容を相談しやすい先生、柔軟に対応してくださる先生が歓迎されています。

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大阪府の転職・求人トレンド

医局派遣

大阪府には、大阪大学、大阪公立大学、大阪医科薬科大学、関西医科大学、近畿大学の5つの医学部が存在します。特に大阪市以北に4つの大学が集中しており、その分、医局人事の影響も強い傾向です。

ただ、近年では医師中間層の医局離れが増えていることもあり、これまで医局派遣に頼っていた医療機関も、並行して独自採用を実施することが多くなっています。
また、「入局は必須だが、籍のみを置くかたちで転職する」といった事例もあり、以前に比べると提案の幅が広がってきている状況です。
もちろん医局人事とは関係のない求人も多数ありますので、従来の働き方にとらわれない柔軟な選択肢をご提案できます。

給与相場

大阪北部の求人は「勤務日数 週4.5日~」が一般的です。対する南部は、勤務日数や条件を柔軟に相談できる施設が多い傾向にあります。
給与相場は北部も南部もあまり変わりませんが、南部では相場以上の給与額を提示するところが多い印象です。

臨床研修指定病院や大手の法人などでは年次で年収規定を設けているところが多く、転職するタイミングによっては、その他の医療機関と比べて年収が低くなることもあります。

大阪府の医療状況

大阪府は下記の8つの二次医療圏に分かれます。

二次医療圏 市町村
豊能 豊中市、池田市、吹田市、箕面市、豊能町、能登町
三島 高槻市、茨木市、摂津市、島本町
北河内 守口市、枚方市、寝屋川市、大東市、門真市、四条畷市、交野市
中河内 八尾市、柏原市、東大阪市
南河内 富田林市、河内長野市、松原市、羽曳野市、藤井寺市、大阪狭山市、太子町、河南町、千早赤阪村
堺市 堺市全域
泉州 岸和田市、泉大津市、貝塚市、泉佐野市、和泉市、高石市、泉南市、阪南市、忠岡町、熊取町、田尻町、岬町
大阪市 大阪市全域

この8つの医療圏のうち、大阪府の人口の3割を占め、医療センターや総合病院などの医療施設が多くあるのが大阪市です。

医療機関

大阪府の病院数は、2019年の医療施設調査では513施設あり、一般病院が475施設、精神科病院が38施設になっています。

二次医療圏域ごとの病院数と診療所数

二次医療圏 病院数 診療所数
豊能 47 986
三島 38 607
北河内 61 901
中河内 35 664
南河内 38 468
堺市 43 743
泉州 76 670
大阪市 175 3494

出典:厚生労働省「令和元年医療施設調査」

救急医療については、一次・二次救急とも内科・外科は輪番制がないのが特徴です。
2021年7月時点の救急医療体制は下記のとおりです。(2021年7月時点)

  • 初期救急医療体制:休日・夜間急病診療所50ヶ所
  • 二次救急医療体制:281病院
  • 三次救急医療体制:救命救急センター16ヶ所(うち、高度救命救急センターは大阪急性期・総合医療センター、大阪大学医学部附属病院、関西医科大学附属病院の3ヶ所)
  • 小児救命救急センター:3ヶ所(大阪市立総合医療センター、高槻病院、大阪母子医療センター)

大阪府にはかつて、三島・千里・中河内・泉州の4つの単独型(母体となる病院を持たない)救命救急センターがありました。
しかし存続が厳しく、2006年に千里救命救急センターが済生会千里病院に、2013年に泉州救命救急センターがりんくう総合医療センターに移管されました。そして2022年、三島救命救急センターが大阪医科薬科大学に移転・併合予定です。
救急医療体制を維持する難しさがわかります。

自治体の医療確保の仕組み

大阪府は「OGCS(産婦人科診療相互援助システム)」「NMCS(新生児診療相互援助システム)」を全国に先駆けて確立し、周産期医療に注力しています。
さらに救急、産婦人科、小児科の医師不足に対し、キャリア形成のための制度として、2011年に大阪府地域医療支援センター(旧:大阪府医療人キャリアセンター)を設置しました。

このセンターでは府内の5大学ならびに地域の基幹病院と連携して、救急、産婦人科、小児科のキャリアパスプログラム(10年)を作っています。
専門医の取得はもちろんのこと、その後のサブスペシャルティ、あるいは指導医を目指しさまざまな施設で経験を積むなど、個々の意向に応じてキャリア形成を支援しています。

また、同センターには「ドクターバンク」があり、医師不足地域の医療機関への医師紹介を行っています。

生活環境の魅力

大阪府はコミュニケーション能力の高い人が多く、いい意味で他人との距離が近いのが魅力です。大阪弁・関西弁と呼ばれる独特のイントネーションや、せっかちな気質、笑いを求める姿勢など、他府県にはない文化が多くあります。

しかし、来るもの拒まずな雰囲気なのでなじみやすい土地柄と言えます。

交通アクセス

大阪府は地下鉄が9路線あるほか、阪急電車、近鉄電車など鉄道会社が10社以上あります。
似た名前の駅が多くありますが、特に間違いやすいのが大阪と新大阪です。新幹線は新大阪駅発着ですが、大阪駅で新幹線の改札を探したという話はよく聞きます。
新大阪駅まで数駅離れていますので、注意しましょう。

生活しやすいエリア

北摂地域、特に千里中央駅付近が交通アクセスや治安、学区としても良く、ファミリー層に人気のエリアです。
また、最近は阿倍野区が人気で、実際にお住まいの先生もいます。電車やバスなどのアクセスが良好で、タワーマンションの開発が進んでいます。
阿倍野区周辺には、医学部への進学率の高い高校が3校(四天王寺高校、大阪星光学院高校、天王寺高校)あります。医学部受験専門の塾もあり、教育環境の良いエリアです。

観光エリア

梅田、難波、心斎橋は昼も夜も賑やかな場所で、飲食店が非常に多いエリアになります。食い倒れの名にふさわしい食体験ができるでしょう。
物価も東京に比べて低く、安価で美味しいお店が軒を連ねています。お気に入りのお店を発掘するのも楽しみですね。

子どもの教育体制、医学部への進学状況

大阪府内の待機児童数は158人(2021年4月1日現在)です。前年より保育施設が約100ヶ所増えており、子育て支援の拡充が進められています。
大阪府医師会では、他病院の院内保育所を期間限定で利用できる「院内保育所ネットワーク」を構築しています。

大阪府内の幼稚園~高校の学校数

国立 公立 私立
幼稚園 1 215 334
認定こども園 - 87 563
小学校 3 974 17
中学校 3 453 61
義務教育学校
(小中一貫教育)
- 7 -
高等学校
(全日制・定時制)
1 157 96

出典:大阪府「令和3年度学校基本調査」

大阪府の公立高校は、学区制(地域ごとに受験できる学校の区切りがある)が撤廃され、府内のどこの高校でも受験が可能です。
そのことで学力の高い公立高校は人気となり、私立高校も負けじと独自のカリキュラムを導入。学力向上に特化した学校では、必然的に医学部を目指す生徒も増えていきます。

医学部への進学率が高いのが、国公立高校では北野高校、天王寺高校、私立高校では四天王寺高校、大阪星光学院高校、清風南海高校となっています。このうち4校が大阪市内にあり、交通アクセス良好です。
医学部専門の塾や予備校も多数あり、教育環境を整えやすくなっているのも魅力です。

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大阪府での
医師転職成功事例

希少な在宅ホスピスへの転職

緩和ケア科 30代後半男性

Before

年収 1,000万円
専門科目 緩和ケア科
施設形態 公立病院
勤務日数 週5日

看取り中心の在宅ホスピスに従事したい

病院勤務を続けてきたが、在宅医療の経験を積みたいと考えました。

After

年収 2,500万円
専門科目 緩和ケア科
施設形態 クリニック
勤務日数 週5日、当直なし

希望がかなったうえ、年収が2.5倍に!

希少な在宅ホスピスクリニックへの転職が実現。患者さんやご家族に寄り添った医療を学べる環境です。年収も大幅アップし、待遇面でも満足しています。

QOL重視 週5日→3.5日×当直なし

消化器内科 50代男性

Before

年収 1,500万円
専門科目 消化器内科
施設形態 一般病院
勤務日数 週5日、当直あり

勤務日数を減らしてプライベートを充実させたい

週5日勤務・当直ありの勤務体制では、趣味に費やす時間の確保が難しい状況です。できることなら、自宅から自転車通勤したいと常々思っていました。

After

年収 1,080万円
専門科目 消化器内科
施設形態 クリニック
勤務日数 週3.5日、当直なし

週3.5日勤務で当直なし!趣味の時間を楽しめるように!

自宅から自転車圏内で通勤がラクに。給与も時給換算すると、以前とほぼ同じ水準です。プライベートも充実し、理想の働き方を実現できています。

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大阪府での転職についてよくある質問

新専門医制度の専門研修途中ですが、プログラム変更はできますか?

科目によっては可能な場合があります。当社の紹介事例として、大阪以外のエリアで内科プログラム研修中の先生が、その病院での症例登録を認めてもらいつつ、大阪の病院に移って研修を継続する、という事例を経験しています。
専門研修中の先生も、キャリアについて悩みがあればお一人で悩まず、気軽な相談相手として民間医局にお問い合わせください。

女性医師が働きやすい、子育てとの両立がしやすい医療機関はありますか?

大阪府では、働く女性医師が多いです。時短勤務や週3勤務など、柔軟な働き方を認めている医療機関が多数あります。
他県と比べると大阪府は比較的働きやすい環境が整っており、県を跨いで勤務されているケースもあります。子育て中やこれから妊娠・出産を迎えられる方はぜひご相談ください。

「大阪ならでは」という風習や、気を付けるべきポイントは?

特にはないと思います。強いて言えば、エスカレーターで右側に立つというルールぐらいかもしれません。左側に立っている方を見ると、関西以外の方だなとわかります。

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