東京都の医師転職市場
日本一の病院数とクリニック数を誇る東京都は、医師求人数が突出しており、勤務内容・種類も多彩です。「時短勤務」や「当直なし」といった働き方の選択肢が多いため、希望に沿った求人を見つけやすいとも言えます。
都内・都下はもちろん、隣接県から都内に通っている医師もたくさんいます。特に23区内の求人は競争率が高くなる傾向があります。
23区の求人は募集背景に「診療体制の強化・拡大を目的」としたものもあり、専門性の高さや経験値を求められることが少なくないです。
一方、都下や西多摩の山岳地帯、島しょ部は慢性的な医師不足にあるものの、医療機関数が少ないため、23区に比べ求人数も少なくなります。
こうしたエリアで働く医師は専門性を活かしつつ、総合内科的に幅広い患者を診ることが求められます。一人ひとりが担う医療の幅が広いため、総合診療力を身に付けたい若い医師にもおすすめのエリアです。
東京都の医療データ
- 人口:14,047,594人(全国1位)
- 医療施設の従事者数:45,078人(全国1位)
- 人口10万人対医師数:320.9人(全国4位)
- 病院数:638施設(全国1位)
- 人口10万人対病院数:4.5施設(全国44位)
- 人口10万人対診療所数:98.9施設
- 特定機能病院数:16
- 医科大学・医学部数:13
- 二次医療圏数:13
東京都は日本最大の医療集積地
医師数、病院数、クリニック数が全国で群を抜いて多いのが東京都です。
特に23区は医学部本院が12あります。なかでも5大学を抱える区中央部(千代田区・中央区・港区・文京区・台東区)、3大学を抱える区西部(新宿区・中野区・杉並区)の医師数は突出して多く、日本最大の医療集積地となっています。
ブランド病院や有名法人グループもあり、全国から患者が訪れる
23区は言わずと知れた日本の経済の中心地です。都下・近隣県から都心へ通勤し、勤務先近くの医療機関を利用する人が多いです。
さらに日本を代表する数々のブランド病院、有名な法人グループがあるため、首都圏だけでなく日本全国から多くの患者が集まります。
大学病院やブランド病院は症例数の豊富さや指導体制の手厚さを強みとする施設も多く、医師のキャリア形成の場として人気があります。
さらに23区は子どもの教育環境(学校や塾)が充実していることも、全国から若い医師が集まる理由の一つでしょう。
隣接県へ医師を供給している
日本で最も医科大学・医学部を有する東京都は、隣県にも附属病院や関連病院があります。
首都圏は交通網が充実しており、アクセスの良さも手伝って、東京都の大学医局に属する多くの医師が、隣県へ出向・派遣されています。
23区と、その他エリアの医療格差
東京都でも23区と都下、さらに西多摩の山岳地帯や島しょ部では、医療提供体制に大きな差があります。
23区以外のエリアにある医学部は、杏林大学だけです。急性期医療の提供能力は低く、23区や他の医療圏への依存度が高くなります。
西多摩と南多摩医療圏は、高齢者施設や療養病床、精神病床が多く、23区から長期療養の必要な患者や、精神疾患の入院患者を数多く受け入れていることが特徴です。
島しょ医療圏は過疎地域であり、病院は1施設、診療所も20施設しかありません。病院勤務医は非常に少なく、慢性的な医師不足の状況が続いています。
さらに高齢化社会により医療需要は高くなる一方で、23区とそれ以外のエリアの医療格差がますます大きくなっていくと予測されています。
東京都が取り組む医師確保対策
東京都では医師不足の深刻な地域を支援するために、「東京都地域医療支援ドクター事業」を実施しています。
地域医療の支援に意欲を持つ医師を都が採用し、医師不足が深刻な多摩・島しょ部の公立病院などへ一定期間派遣するものです。
働き方は、多摩・島しょ部の公立病院等への「支援勤務(派遣)」(通算2年間以上)と、都立病院等における「キャリアアップ勤務」(それ以外の期間)のローテーション勤務になっています。