愛知県の医師転職市場や年収相場は?

更新日:2023/04/06 公開日:2021/11/29

日本の中心部に位置する愛知県。トヨタをはじめ優良企業が多く、製造品出荷額は日本一。一人当たりの県民所得が全国2位と、経済的に豊かなエリアです。

この記事では、愛知県での転職や移住を考える医師のために、民間医局のエージェントが最新の転職市場や転職成功のポイントを解説します。

目次

愛知県の医師転職市場の動向

愛知県の2021年10月時点の推計人口は約752万人。大まかに、名古屋市を中心とした尾張地方、豊田市のある西三河地方、県東部の東三河地方に分かれます。

厚生労働省の「平成30年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、愛知県の医師数は16,045人(医療施設の従事者)。
東京都、大阪府、神奈川県に続く全国4位の多さですが、人口10万人に対する医師数は212.9人(全国38位)と少なく、全国平均246.7人と乖離しています。

医師の偏在を一言で表すなら、「西高東低」。県西部に位置する名古屋市に40%強の医師が集中しています。
一方で、県東部の三河エリア(岡崎市、豊橋市、渥美半島など)は医師が不足気味です。隣接する静岡県浜松市から医師派遣を受けている医療機関もあります。

県内の医学部は名古屋大学、名古屋市立大学、愛知医科大学、藤田医科大学の4つです。
愛知県内の多くの急性期・基幹病院は、いずれかの大学から医師派遣を受けており、近隣の岐阜大学、浜松医科大学と連携している病院もあります。病院によっては診療科ごとに複数の大学から医師派遣がされているケースも珍しくありません。

名古屋市近郊は交通アクセスが発達しています。通勤に便利な長久手市、日進市、春日井市、一宮市、清須市はベッドタウンとして人気です。
名古屋市に居を構え、市外の医療機関に勤務される先生もいらっしゃいます。

愛知県の医師の平均年収

厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、愛知県の医師平均年収は、1,598.6万円(平均年齢43.1歳、勤続年数5.9年)です。
全国の医師平均年収1,440.3万円を大幅に上回りました。

医師の平均年収グラフ(東海圏)

医師の平均年収比較

愛知県 全国
男女 1,598.6万円
(43.1歳、勤続5.9年)
1,440.3万円
(45.5歳、勤続7.1年)
男性 1,639.3万円
(48.1歳、勤続7.3年)
1,522.5万円
(47.2歳、勤続7.9年)
女性 1,403.2万円
(39.9歳、勤続7.4年)
1,188.3万円
(40.6歳、勤続5.0年)

※カッコ内の年齢は調査対象となった医師の平均年齢、年数は平均勤続年数

愛知県の医師平均年収を男女別にみると、どちらも全国平均より高い水準です。
特に女性は全国平均より約200万円高い結果となりました。ほかのエリアに比べて、愛知県の給与は高めに設定されていることがわかります。

民間医局が愛知県で紹介してきた常勤求人実績を見ても、「40歳で年収1,500~1,600万円」が平均値でした。
他県では都市部の医療機関ほど人気があり、給与が抑えられる印象ですが、名古屋市ではその傾向はあまり見られません。若手医師でも、年収1,000万円を下回る転職事例は少ないです。

医師が不足気味の三河エリア(岡崎市、豊橋市、渥美半島など)では名古屋市からでも通いやすいように、高速道路代などの交通費補助や当直なしなど、条件の調整が可能な病院も多くあります。

本記事内の図表は、厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」をもとに作成しています。平均年収は、「きまって支給する現金給与額(時間外、職務手当など各種手当を含む)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出した金額です。講演料や執筆料などの収入は含まれておりません。
調査対象のサンプル数や年齢、勤務内容等は都道府県によっても異なります。参考までにご覧ください。

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愛知県で求められる人材とは

2024年に迫った「医師の働き方改革」に向け、医師の採用活動が活発化しています。
採用を控えていた医療機関も、2022年4月から常勤医師の当直回数を削減し、非常勤医師の採用を強化する動きが出てきています。
今後、当直回数の少ない常勤求人が増えてくる可能性があり、「家族との時間を大切にしたい」「ワークライフバランスを重視したい」方にも選択肢が増えてくることが見込まれます。

愛知県全域でニーズが高まっているのは、訪問診療・在宅医療です。
若手医師が訪問診療クリニックを開業して医師を積極採用したり、全国展開している法人グループが愛知県にも進出したりしています。
病院勤務よりも給与水準が高く、求人数も多いため、転職先として検討される方が増えています。

一般外科、消化器外科はどうしても大学病院がキャリア形成の中心です。
ご紹介できる市中病院は多くはないものの、医局の影響を受けない勤務先もあります。整形外科は中~小規模な病院も多く、選択肢は広がっています。

ここ数年は、美容など自由診療を希望する医師が増えています。
名古屋市に新規出店するクリニックもありますが、求人よりも求職ニーズの方が多く、競争率は高めです。

豊田市周辺では、トヨタ自動車の関連企業などを中心に産業医求人、健診求人が多く出ますので、外勤先も比較的スムーズに見つけられます。

医療機関が求める人物像

採用側の特徴として、募集を広げている訪問診療クリニックは、コミュニケーション力や接遇を重視する傾向です。
経験の浅い方だとしても、丁寧な指導体制のもと、積極採用している病院が比較的多いです。若手医師や転科希望の方々も、安心して入職できるのではないでしょうか。

キャリアの選択肢の広がり

首都圏では「医局人事に縛られず、自らキャリアを切り開く」という考え方が浸透してきています。
比較すると愛知県では、「医師のキャリアは、大学の医局人事で進むもの」との考えが、まだ多いように感じます。
それでも、専門医の取得や大学院修了、結婚、出産などの節目に、ご自身で同じ県内の勤務先を探す方は多数いらっしゃいます。

民間医局では医師お一人おひとりのライフプラン、キャリアプランに沿った働き方ができるよう、医療機関へ相談をしています。

「こんな勤務条件は無理かな?」と思われても、まずはお気軽にご相談ください。

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愛知県の医療状況

医療機関

厚生労働省の「令和元年医療施設調査」によると、愛知県の病院数は323施設で、全国8位です。
しかし人口10万人あたりの病院数は4.3施設(全国45位)となり、全国平均6.6施設を大きく下回ります。
一般病院が286施設、精神科病院が37施設、病床総数(一般・精神・療養病床など)は67,121床です。11の二次医療圏ごとの病院数、病床数をまとめました。

二次医療圏域ごとの病院数と診療所数

医療圏 病院数 病院の病床数 診療所数
愛知県全体 323 67,121 5,455
海部 11 2,386 220
尾張東部 19 5,739 331
尾張西部 20 4,620 351
尾張北部 26 6,046 486
知多半島 19 4,041 389
西三河北部 20 3,477 272
西三河南部西 23 4,872 403
西三河南部東 15 2,829 262
東三河北部 4 394 50
東三河南部 37 7,741 453
名古屋・尾張中部 129 24,976 2,238

出典:厚生労働省「令和元年医療施設調査」

自治体の医師確保の取り組み

愛知県の医師数は全国4位の多さですが、地域による偏在が長年の課題です。
他県からの流入促進ではなく、県内で多くの医師に定着してもらえるよう、キャリア形成支援や勤務環境改善に取り組む方針です。

  • 地域枠医師の養成
  • 医師少数区域へ、地域枠医師を優先派遣
  • キャリア形成プログラムの策定・運用

生活環境の魅力

愛知県は日本の中心に位置しているため、全国各地へのアクセスが良好です。新幹線で東京まで1時間35分、大阪は50分で行けますので、学会参加にも便利です。
年間を通じて気候は温暖で過ごしやすく、「なごやめし」など食文化も楽しめます。

住みやすい街

名古屋市の中心部を横断する地下鉄東山線沿線の千種区、名東区は人気のエリアです。
覚王山は高級住宅街でありながら、古くからの商店街など庶民的な街並みも残っています。星ケ丘も駅前の商業施設を中心に開発が進み、洗練された街が魅力的です。
また、中心部から少し離れますが、緑区は近年人口が増えており、特に子育て世代には人気です。

交通アクセス

さすがトヨタのお膝元、愛知県は車の所有率が高く、駐車場も安価で借りられます。道幅が広いので、都心に比べると走りやすいと思います。
名古屋市に住み、郊外の医療機関へ車通勤される方も少なくないです。ファミリーでしたら、週末は車で三重県や岐阜県に遊びに行くのもおすすめです。

観光エリア

名古屋市中心部に商業・文化・娯楽施設が集まっています。名古屋城、熱田神宮、東山動植物園や名古屋港水族館、少し足を伸ばせば国宝犬山城といった人気スポットがあります。
郊外は自然に恵まれていますし、都会と田舎、両方の良さを享受できるのが愛知県の魅力です。

子どもの教育体制、医学部への進学状況

2021年4月時点の愛知県の待機児童数は174人で、前年同月の155人から19人増えています。(厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめのポイント」
しかし待機児童率は0.11%と低く、東京都(0.30%)や兵庫県(0.66%)、福岡県(0.50%)に比べて預けやすく、子育てと仕事の両立がしやすいといえます。

名古屋市には、全国トップクラスの医学部合格者を輩出する私立東海中学・高校があります。
また、愛知県は他県に比べ、公立の進学校が多いことも特徴です。「公立志向の強い県」と言えるかもしれません。
2020年度の大学進学率は約60%で、全国8位です。全国平均の約56%より高い水準となっています。周辺の三重県や岐阜県から、愛知県の大学へ進学するケースも多いです。

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愛知県での
医師転職成功事例

時短でも分娩対応できるクリニックへの転職

産婦人科 30代前半女性

Before

年収 1,000万円
専門科目 産婦人科
施設形態 大学病院
勤務日数 週5日+隔週土曜日

子育てと仕事の両立が大変

出産後も産婦人科医としてキャリアを継続したいのですが、勤務先の大学病院では時短や勤務日数減が難しく、家族に負担をかけていました。遠距離通勤も辛かったです。

After

年収 1,300万円
専門科目 産婦人科
施設形態 クリニック
勤務日数 週5日 時短勤務

時短ながらも分娩もでき、年収アップも実現

自宅から20分ほどのクリニックへ転職し、子育てや家族との時間を確保することができました。
「時短勤務だと、やりたい業務に十分に関われないのでは」と考えていましたが柔軟に希望を聞いていただき、分娩対応も可能に。
大学勤務時代より年収もアップしました。

在宅医療で当直・オンコールなし

在宅医療 40代前半男性

Before

年収 1,500万円
専門科目 救急科
施設形態 公立病院
勤務日数 週5日

将来の開業を見据えて、在宅医療を学びたいが…

救急科で一通りキャリアを積み、将来は開業したいと思いました。夫婦共働きのため、育児をしたいという希望もありましたが、医局人事では融通が利かず、転職を考えました。

After

年収 1,800万円
専門科目 在宅医療
施設形態 病院
勤務日数 週4日 当直・オンコールなし

当直・オンコールなし!週4勤務で年収も大幅アップ

将来的な開業も快く受け入れられ、サポートを約束してくれました。さらに夫婦共働きにも理解があり、夜間のオンコールがなしに。勤務日数も週4日となり、残りの1日は開業のために、外勤で外来ができるようになりました。

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愛知県での転職についてよくある質問

愛知県で働く魅力は何ですか?

立地、アクセスも含め、「良い意味で中間」という点です。
都会の便利さと豊かな自然が共存しているので、特にお子さまのいらっしゃる方におすすめです。

女性医師が働きやすい環境ですか?

時短、週4日勤務で働く女性の先生は年々増えています。ご事情に合わせた働き方がかなう医療機関は多いと思います。
特に訪問診療は若手医師が多いため、結婚・子育てなどプライベートにも理解があります。

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