鹿児島県の医師転職市場や年収相場は?

公開日:2022/03/02

鹿児島県は南に薩摩半島と大隅半島が突き出し、奄美大島や種子島など、多くの離島からなります。温暖な気候で住みやすく、移住にもおすすめです。

県庁所在地である鹿児島市周辺は医療施設や医師数が多いものの、エリアによる偏在が課題です。

この記事では、鹿児島県へ転職や移住を検討している医師のため、最新の転職市場や転職のポイントを紹介します。

目次

鹿児島県の医師転職市場の動向

鹿児島県には精神科病院が多い印象です。厚生労働省の「令和元年医療施設調査」によると、県内に精神科病院は37施設あります。これは熊本県(38施設)と同水準です。

鹿児島市内には総合病院が多く、市の中心部から車でおおよそ5分以内の距離に集まっています。

厚生労働省の「平成30年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、2018年12月31日時点で鹿児島県の医療施設に従事している医師数は4,370人でした。人口10万人に対する医師数は270.8人で、全国平均の246.7人を上回っています。

鹿児島県の医療施設に従事する医師数の全国順位は21位と、決して多くはありません。しかし鹿児島県の人口は約157万人(2022年1月1日時点)で、人口に対する医師数は全国17位です。

ただし、鹿児島県でもほかの都道府県と同様に、医師の偏在が課題です。特に小児科や産科の医師不足が問題となっており、鹿児島医療圏と曽於医療圏では産科医数に8.6倍もの差が生じています。

医学部は鹿児島大学にあります。周辺には公立病院や多くの総合病院が集まります。
鹿児島大学の医局の影響力はかなり強く、関連病院も多数あります。医局を離れて県内で転職する場合、相談可能な医療機関がないわけではありませんが、選択肢が限られてしまうのは事実です。

鹿児島県の医師求人は内科系の比重が高く、世代交代による募集が多いです。
都市部と郊外(へき地や離島など)で求人に大きな違いはありませんが、離島や人口が少ない地域になればなるほど、外科・内科問わず幅広い疾患への対応が求められる傾向にあります。

県北エリアは九州新幹線の沿線で、県外から来られる医師もたくさんいらっしゃいます。福岡県の博多駅から鹿児島中央駅までは約1時間20分です。
大都市に比べればゆったりとした雰囲気の中、やりたい医療ができる土壌が整っています。
そんな鹿児島県への転職をぜひご検討ください。

鹿児島県の医師の平均年収

医師の平均年収グラフ(北海道・東北)

厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、鹿児島県の医師の平均年収は1,274.5万円(平均年齢45.0歳、勤続年数5.8年)でした。全国平均の1,440.3万円を下回っています。

男女別にみると、鹿児島県の男性医師の平均年収は1,389.5万円(平均年齢46.9歳、勤続年数6.5年)、女性医師の平均年収は447.0万円(平均年齢30.8歳、勤続年数0.8年)でした。

実際の相場観でいうと、上記の平均年収より高めの水準になっている印象が強いです。もちろん地域や年代によっても異なりますが、鹿児島県の給与相場が極端に低いということはありませんので、ご安心ください。

女性医師の平均年収が極端に低いのは、調査対象となった医師の勤続年数が短いことや平均年齢が低いことが関与していると考えられます。

民間医局で鹿児島県内の求人を検索すると、253件中146件が「年収1,800万円以上」でした(2022年2月8日時点)。年収1,800万円は医師の高額年収のボーダーラインとされています。

また、「年収2,000万円以上」の求人は67件ありました(2022年2月8日時点)。厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」で平均年収が低く算出された鹿児島県でも、高額年収を狙えることが分かります。

本記事内の図表は、厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」をもとに作成しています。平均年収は、「きまって支給する現金給与額(時間外、職務手当など各種手当を含む)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出した金額です。講演料や執筆料などの収入は含まれておりません。
調査対象のサンプル数や年齢、勤務内容等は都道府県によっても異なります。参考までにご覧ください。

鹿児島県
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鹿児島県の医療状況

医療機関

厚生労働省の「令和元年医療施設調査」によると、鹿児島県内にある病院数は241施設で全国10位です。人口10万人あたりの病院数は全国2位で、鹿児島県の人口に対して病院数は十分にあると考えられます。

ただし前述のとおり医師偏在の課題もあり、病院数だけで判断はできません。二次医療圏域ごとの病院数とみると、半数近くが鹿児島エリアに集中していることが分かります。

鹿児島県の診療所数は全域で1,374施設、人口10万人あたりの診療所数は85.8施設です。全国平均の81.3施設を上回っています。しかし診療所数も病院数と同様に、鹿児島エリアに半数近くが存在し、曽於エリアや熊毛エリアは診療所が少ない状況です。

二次医療圏域ごとの病院数と診療所数

医療圏 病院数 診療所数
鹿児島県全域 241 1,374
鹿児島 104 613
南薩 31 114
川薩 15 119
出水 8 66
姶良・伊佐 34 190
曽於 9 52
肝属 21 111
熊毛 4 24
奄美 15 85

出典:厚生労働省「令和元年医療施設調査」

自治体の医師確保の取り組み

鹿児島県で医師少数区域に設定されているのは、出水、曽於、熊毛医療圏です。医師数の多い鹿児島医療圏のなかでも、三島村や十島村は医師少数スポットとして、医師確保の取り組みがなされています。

医師確保に向け鹿児島県では、「ドクターバンクかごしま」を設置していることも特徴です。「ドクターバンクかごしま」では医療圏ごとの医師求人の掲載や、無料職業紹介を行っています。

生活環境の魅力

鹿児島県は九州南部に位置し、東京都の約4倍もの面積があります。離島も合わせると南北に長いため、熱帯気候と亜熱帯気候にまたがっています。県北エリアは1月の平均気温が氷点下にまで下がる一方、県南エリアは同じ1月でも菜の花が咲くほどの暖かさです。

物価水準も首都圏より低く、総務省の「小売物価統計調査(構造編)2020年」によると、鹿児島県の物価水準は全国で3番目に低い97.2ポイント(全国平均=100)でした。特に住居の物価水準が低く、86.4ポイント(全国平均=100)となっています。

住みやすい街

鹿児島県で医師が多く住んでいる街は鹿児島市です。
県庁所在地である鹿児島市は県のほぼ中央に位置し、錦江湾の向こうに桜島を眺めることができます。人口は令和3年4月1日時点で約59万人です。

鹿児島市に隣接する姶良市、さらにその隣の霧島市も鹿児島市のベッドタウンとして人気があります。
ベッドタウンとしての機能だけでなく、文化財との融合も姶良市の魅力です。市内には、近代的な建物と歴史ある文化史跡の合わさった美しい街並みが楽しめます。

霧島市には鹿児島空港があり、東京から最短100分、大阪から最短70分でアクセスできます。移住サポートも手厚いことが特徴です。

交通アクセス

鹿児島県内には、鹿児島空港、屋久島空港、種子島空港、奄美空港など合計8つの空港があります。鹿児島空港から奄美空港までは最短35分でアクセスできます。
奄美空港と鹿児島空港からは、東京や大阪、名古屋などへの発着便もあり、本州へのアクセスにも便利です。

博多や新大阪方面には、九州新幹線が通っており、空路だけでなく陸路での移動もできます。ただし鹿児島県の鉄道は県東から県南、県北から県央と路線数が少ないため、県内の移動は車が必要になるでしょう。

観光エリア

鹿児島県といえば離島の多いことでも有名で、南北600kmに26の有人離島があります。なかでも世界自然遺産のある屋久島や、亜熱帯気候の自然を満喫できる奄美大島が人気です。

島ごとに異なる郷土料理や風景を楽しめることも、鹿児島県へ移住するメリットと言えるでしょう。

子どもの教育体制、医学部への進学状況

2021年4月1日時点の鹿児島県の待機児童数は114人と、全国の中でも多いことが課題です。しかし前年同月の待機児童数322人と比較すると、208人減少しています。

鹿児島県では2015年より「鹿児島県子ども・子育て支援事業支援計画」が施行されました。各市町村による子育て支援だけでなく、県がエリアを超えて対応することでより子育てしやすい環境を目指しています。

県内の高校のなかでも、ラ・サール高校や樟南高校(普通科文理コース)などの私立高校では医学部進学実績が多くあります。公立高校なら、鹿児島市にある鶴丸高校が進学校として有名です。
上記3校とも鹿児島市にあるため、鹿児島市内や隣接する姶良市からが通いやすいでしょう。

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鹿児島県での
医師転職成功事例

総合病院で、内科の救急当直をしないといけない

精神科 30代前半男性

Before

年収 1,000万円
専門科目 精神科
施設形態 市中の総合病院
勤務日数 週5日、救急当直あり

当直は厭わないが、内科救急当直は辛い

After

年収 1,300万円
専門科目 精神科
施設形態 市中の精神科単科病院
勤務日数 週5日、当直あり

精神科単科病院への転職で当直問題解消、年収もアップ

鹿児島県での転職についてよくある質問

鹿児島県への移住で、注意すべきことはありますか?

移動手段は車がメインとなります。
慣れないうちは桜島の火山灰にも注意が必要です。噴火が酷いと数メートル先も見えなくなり、運転に支障が出る場合があります。
噴火の際はなるべく外出を控える、屋外の車にカバーを付けるなど対策します。

鹿児島県で働く魅力は何ですか?

通常の診療にとどまらず、離島で勤務できる機会が多いことです。

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■参考サイト

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